第7話


 手に渡されたタッパーには筑前煮が入っていた。若いのにババくさいもん作るんだな。そう思いながらもまだ暖かい筑前煮を食べた。


 ‥‥久しぶりにまともなご飯を食べた私は無意識に涙が流れていた。


 随分疲れてるんだなと思った私は自分で自分を慰めながら一口一口噛み締めた。


 あっという間に完食した私は、すぐにタッパーを洗った。


 朝返しに行くか‥‥。

 お腹もいっぱいになって満たされた気分で眠りにつけた。



 その日夢を見た。見慣れた街が雲でいっぱいになってまるで綿を敷き詰めたみたいに真っ白で誰もいなく、私は雲の上を歩けた。


 ところが突然赤い雨が降り出して街を真っ赤に染めた。夢はそこで終わり目が覚めた私は変な汗をかいていた。


 その時、玄関の外に気配を感じた私は気怠い体を起こし摺り足で玄関に向かった。


 深呼吸をし、ドア穴を覗く。数十秒まで眠っていたのが嘘かのように頭が冴えた。


 素早くドアを開け、目の前に立っている男を部屋に引き入れた。


 そして、いつものように真っ赤に染まった手を洗ってあげ、顔を拭いてあげ、部屋に座らせた。すると、男はすぐ横になり寝息を立てながら眠った。


 まだ少し寝れるな。私も男の横に転び寝顔を見ながら眠りについた。

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