第14話 おまけ
彼を模った時計が3時を告げた。
「MAGOHAKOYORIKAWAIIっていうものね」
お母さんの声が聞こえる。昼寝から目が覚めた。
お母さんとおねいちゃんたちが何やら話をしている。
「あの子の悪戯はほんとひどすぎる」
私の悪口を言ってる。寝たふりしとこ。何やったかな。うー〜ん。
「こないだなんか、お父さんに買ってもらったブーツの中に水を貯めて遊んでたのよ」
最近、高いものを買ってもらった時は、お父さんをお父さんと呼ぶようになった上の姉が言う。
「ケタケタ笑いながら」誤解よ!臭かったから洗ってあげてたんじゃない。大体、笑ってなかいない。
「まだ小さいんだから、しょうがないじゃない。ちゃんとしまっときなさいよ。自分で、」母が嗜める。
「そうよ、革製品を水に濡らしちゃいけないなんてわかるわけないじゃない。」二番目の姉が言う。
『・・・・』いいこと言う。そうよ、わかるわけないでしょ。抗議をしようと立ち上がった。
「そっちで2人で遊んでて。」もう一人のおねいちゃんに連れてかれる。普段は家にいないが、姉たちがおねいさんと呼んでるので、おねいさんなんだろう。そうだ、最近、この人がくるときは、こいつがいる。
「バァブウ。」本当、こんな喋りをする。まだまだ、動物の域を出てないわ。私とちがって。『バアブウ』だって、本当、どう思うねえ。今時、『バアブウ』はないよね。
「あら、何か言ってるわ。でも、本当、孫と子がこんななんて、ちょっと若い頃は考えなかったな〜」母がため息混じりで言ってる。
「まだ夜泣きするんですか。」普段は家にいないがおねいちゃんが聞く。
「毎晩。うるさくって」上の姉が答える。この姉は、昔からなんとなく苦手だ。
「そんなこと言ったら、かわいそうよ。まだ泣くのが仕事じゃない。」下の姉がいう。
下の姉はいつも庇ってくれる。そうよ、かわいそうよ。
「本当、孫ならもう責任もないし。気楽だったけど」母が言う。
孫?私は、子よね。もしかして、このまだ動物の域を出ないこの子は孫?。『magohakoyorikawaii』って、『孫は子より可愛い』って?
お母さんは、この子の方が私より可愛いって言うの!
マズイわ。いくら私が、スウパーで、プリティでも孫には勝てないかもしれない。
その後の、『バァブウ』との打ち合わせでは、お互いの立場を尊重し、お互いの領域に無闇に踏み込まないことを決めた。そのため、『バァブウ』は、おねいさんと共に私の家を後にした。
家族会議 yasunariosamu @yasunariosamu
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