第12話 うむ?
お腹時計が鳴った。
ここにきて母はひどくお腹ががすくようだ。
もう4ヶ月になるか。それまで誰も気づかないのだから、呑気な人たちだ。
「育てられないと思うの。」
母が口火を切った。
「私も、仕事があるし、家事もしないといけない。面倒を見る余裕はないと思うの。」
ちょちょっと。勘弁してよ。
「私が働けなくなるから、収入も減るし。」
「そんなこと言ったら可哀想よ。私も手伝うから。」
姉がゆう。助かった。これで母も気がかわるはず。
「そんなこと言って、できるわけないじゃない。」
大きいの方の姉が言う。ここ数ヶ月で分かったが、きつい物言いをするひとだ。母の苦労を間近で見てきただけに、言葉に重みがある。
「お式どうするの?」
私がここに来てから、話題はそればっかりなので母が楽しみにしているのはよくわかる。
まあ、私を捨てる理由としては、少し弱い。みんな聞かないふりをする。
「おとうさんはどうして欲しい。」
母が言う。
「母さんの健康が優先だよ。」
何言ってるのよ!あなたがプッシュしないでどうするの!
あなたの本音は知ってるのよ‼︎もっとガツガツきなさい。
こっちは命懸けなのよ‼︎。
一時間も話し合っただろうか。意見が出尽くしたところで、母が締めた。
その日の会議では、決まったことは3つ。一つ目に、父の晩酌のビールが発泡酒に変わること。二つ目に、姉たちの家事の負担が増えること。三つ目に、6ヶ月後私が、家族に加わること。以上だ。
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