第6話 同居

机に置いた腕時計が、電波を拾い動き出した。

電波時計というものは正直何が便利かわからない。

クーラーの室外機の動く音がやけに気になる。


今回の議題は私に関わることだ。

正直、会社の懲罰委員会にかけられた時よりも緊張している。


姉の方が口火を切った。

「私たちをいやらしい目で見てるでしょ。」


いや、それは誤解だ。たしかになんとかは雨上がりにようにとか、娘のなんとかと言った、歳の差恋愛ものはすきだが、現実のリアル歳の差には、正直疲れ切ってる。今までの淡い憧れがズタズタになるほどに。


「お風呂を覗きにきたでしょう。」

それも誤解だ。風呂に入ろうとしただけだ。入っているのならきちんとわかるようにしてもらわんと。


「おねえちゃんが、長風呂すぎるのよ。この時間はお父さんが帰ってきてお風呂に入るのは知ってるでしょ。」

いつのまにか、私のことをお父さんと呼ぶようになった、妹の方が庇ってくれる。


「こないだも、友達が来てるのに素っ裸で、出てくるし。」

しょうがないだろう。風呂に着替えが置いてないから取りに行っただけだ。

何度も声をかけたけど話に夢中で反応してくれなかったじゃないか。

大体、女3人が4人になったからと言って、うるささが少し増したぐらいで、いつもと違うことなんんてわかるわけない。大体、片付けが楽という理由だけで、全ての衣類を居間のタンスに仕舞い込んでるお前たちの母親のせいだろう。


「私が着替えを用意し忘れただけです!。って何回も言ったでしょ‼︎。」

妻が怒る。こういう時は頼もしい。さっきはあなたにせいにしてごめんなさい。


私の身の潔白を理解してもらうまでに、1時間を要した。思春期の子供らと暮らすのは本当に難しい。


この日決まったことは、一つ、寝室にタンスを新しく買うこと。 二つ、着替えは自分で用意すること。三つ、『ただいま入浴中』のフダを買ってくることだ。


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