エフィルと、ローズティー ー ②
朝食を終えると、そのまま食卓へと残された。
エフィルさんが、私に直々にマナーを教えてくれるらしい。
「あなたは、ティーの事しか知らないようですし」
……あれ。
内緒にしていたはずの、ティータイムのことがバレているのかな……。
「精霊界の姫になられる方、きちんとマナーは守ってもらいます」
……姫? はて、何の事なのか……。
「貴方は、この家に連れてこられたということをわかっていらっしゃらないのですね。まあ良いです。時機にわかるでしょう」
とりあえず、エフィルさんの言う通りにしないと、アルミナス様のお母様とお食事が難しいということですね。
「ナイフは右手、フォークは左手です。こうやって並べられてお食事は用意されます」
複数のナイフとフォークが机に並べられた。
「テーブルマナーとして、手に取っていただく順番というものが決まっております。
では、どれを先に使うのがマナーでしょうか?」
……年功序列みたいな感じなのかな。
先に置いたものから使えばいいのかな?
ちらっと、エフィルさんを見ても、相変わらず無表情。
……間違えたら怒られちゃうんだろうな。
これかな?
ナイフに手をかけようとしながら、またちらっとエフィルさんを見る。
「私の顔色は窺わなくていいですので、きちんと覚えてください」
うーん。ダメだ……。
分からないから、とりあえず勘で……。
「ミリエル様、そちらは違います。外側から先に使います」
「……はい」
エフィルさん、厳しい。
新参者が来たからって、目の敵にされている気がする。
「そんな顔したって、ダメです。きちんと身に着けてもらいます」
新しくサラダが盛り付けられた皿が運ばれてきた。
「次は、ナイフ、フォークの使い方です。カレナ、お手本を見せて上げなさい」
カレナが私の隣に座った。
よろしくっていう感じで、ちょっと会釈をした。
けど、エフィルさんが見ている前なので、特に喋りもせずに食べ始めた。
「このようにしてください?」
「……はい」
お喋りは無いながらも、私の隣でカレナがサラダを食べる。
それだけでも、いつもより美味しく感じられた。
大き目の葉物を綺麗に切り分けてみる。
それを丁寧に、フォークを使って口へと運ぶ。
「すごく綺麗ですよ、ミリエル様」
カレナは、小声で私に伝えてくれた。
「頑張って下さいませ」
「ありがとう」
そのやり取りが聞こえていたのか、エフィルさんが注意をしてきた。
「ミリエル様、カレナ、私語は禁止です。フォークの使い方もいまいちですし。もう一度」
何度も私は指摘を受けた。
指摘を受けるたびに私のお皿に、何回もサラダが運ばれてきた。
そう何回も食べれるものじゃないなと思っていると、エフィルさんは気を使ってくれているのか、毎回違うドレッシングをかけてくれて。
なので、とても美味しくいただくことができた。
ぎこちないながらも、最後に盛り付けられた皿は、指摘されることが無く食べることができた。
カレナは、ずっと隣で見守ってくれてた。
最後は、うんうんと頷いている。
「ミリエル様、良いでしょう。また明日練習をしましょう」
「……はーい」
気のせいか、エフィルさんが少し笑った気がした。
「そう言えば、ティーの件ですが……」
そうだった、ティータイム。
エフィルさんに禁止されてしまうかもしれない……。
「いつも、同じハーブばかりだと飽きてしまうと思いますので、私が庭の奥にある花畑を案内しましょう」
怒られるかと思ったが、その提案してくれた事が嬉しかった。
「案内してくださるのですか。ありがとうございます」
「旦那様や、奥様に良いティーを飲ませて」
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