エフィルと、ローズティー

エフィルと、ローズティー ー ①

「起きて、起きて一! 朝だよー!」


「ん……。もう朝ですか……」


 この家に来て数日。

 前までのベッドとは違って、とってもふかふかなベッド。

 寝る時も吸い込まれるように眠ってしまい、朝もなかなか起きられない。


 このベッドは魔法でもかかってるんじゃないかって思います。

 毎日自分で起きれず、カレナに起こしてもらう。


 誰かに起こされるっていうのも、悪く無いかも知れないです。


「お食事の時間です。旦那様がお待ちですのでいらっしゃってください」


 寝ぼけながらも、待たせるのは良くないとささっと、髪を整えて食事場へと向かう。


 数日経っても、相変わらず食事の時は私と旦那様だけが食べている。

 他のメイドさん達は、横に立っている。


 私は大勢で話したいんだけれども、メイドの皆さんはそんな話しかけに答えてくださらなくて、知らんぷりしているみたいで寂しいです。


 アルミナス様とも距離がありますし……。



 アルミナス様の方を見ると、思い出したように喋り出した。

「そうだ、今日もティータイムを楽しみにしているよ」

「はい!」


 ティータイムの時だけは、カレナが一緒に付き合っても良いことになっている。


 けれども、そんなティータイムがあるっていうことはメイド長さんには内緒にしている。

 メイド長さんは聞きなれない言葉に、ピクッと眉が動いた。


 ……ティータイムの話は、まずかった。

 唯一の憩いの時間が壊されてしまうのは、非常にまずい……。

 話をそらさないと……。


「そういえば、旦那様。お母様が次帰ってくるのいつでしょうか?」

「ああ、母様は来週くらいに一度帰ってくるかな」


 まだ会ったことがないお母様。

 来週には会える。


 楽しみでもあり、少し不安な気持ちもあります。

 せっかくなら私のティーも振る舞いたいですけれども、今のティーよりももう少し美味しい新作を用意したいところです。


 私が考え事をしていると、旦那様からお話してくださいました。


「母様が来たら、食卓も少しは楽しくなるかもね」

「それは、お母様も一緒に食べるということでしょうか?」


 この食卓がにぎやかになると、それは私にとってはとても嬉しいことだった。


「そうだよ? もうみんな家族みたいなものだし」


 旦那様がそういうと、横からメイド長が割り込んで話に入ってきた。


「もしそうであれば、ミリエル様の食事マナーをもう少ししっかりして頂きたいです」


 驚いて、メイド長の方を向くと、いつもの無表情の顔のまま、淡々と指摘をしてきました。


「ナイフもフォークもいまいちです。旦那様とのお食事でも申し訳無いと思いながらも、これが奥様がいらっしゃたら、この方は席を外してもらうしかないと思います」

「それはまずいな。じゃあ、その教育係は君に頼んでもいいかい? エフィル?」


 メイド長さんは、かしこまって返事をした。

「はい。分かりました。エフィルにお任せくださいませ」


 カレナよりかは、年上に見えるけれど、精霊界の人の年齢派よく分からない。

 私と同じ歳くらいなのかな?


「それでは、ミリエル様よろしくお願いします」

「……はい」


 エフィルさんは、いつも怒ったように私に当たって来る……。

 ちょっと苦手なのです。

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