カレナと、ハーブティー

カレナと、ハーブティー ー ①

「ここが君の部屋だ。好きに使って欲しい」

「ありがとうございます」


 部屋の中には、綺麗な装飾の家具が並んでいた。

 ベッドに、机に、タンス。

 一通りの物が揃っていた。


「……あの、わたくしはあまり歓迎されていないようでしたが」


 アルミナス様は、優しく言葉をかけてくれた。


「大丈夫。君の良さに、みんなすぐ気づくよ。君がここを気に入らなければ、いつでも言ってくれ」

「元の場所に戻るのは簡単ですけれど、チャレンジしてみるのも大事だと母がよく言ってました」


 アルミナス様は、真剣なまなざしで見つめてくる。


「それで、森の奥まで行って見つけたのが、あの茶葉で。あの動物さん達で……」


 優しく頷いて聞いてくれる。


 アルミナス様は、部屋の奥へと進みカーテンを開けた。

 そこには、綺麗な青空が広がっていた。


「この家の中であれば、好きに使ってくれて構わない」


 アルミナス様は、こっちにおいでと手招きをしてくる。

 窓の方へ行くと、窓からは庭が見えた。


「ここから庭が見えるだろ? この庭についても自由にしてくれて構わない。あの時の茶葉になるかどうかは保証できないけど、色んな葉がある」


 笑いかけてくれる。


「君はそのままでそのままで素晴らしいのだから、周りのことを気にしないで大丈夫」


 やっぱり、アルミナス様は優しそうなお方。


「ありがとうございます。気に入ってくださったお茶、また作れるように頑張ります」

「僕の方こそ、ありがとう。あらためて、これからよろしくお願いしたい」


 アルミナス様は優しい瞳でこちらを見つめて。

 髪越しに私の額へとキスをすると、部屋の入口の方へ向かって歩いて行った。


「僕は、報告と溜まってしまっている公務があるからしばらく自分の部屋にいる。何かあれば呼んで欲しい」


 アルミナス様に手を振って見送ると、部屋の外で構えていたメイド姿の女の子がいるのが見えた。

 その子は、アルミナス様へ向かって首を一生懸命横に振っている。

 そのあと、こちらを睨んできた。


「私があなたの面倒を見るカレナです」


 10歳くらいの小さい子供のようだった。

 メイド服を着ているというよりも、着られている感じで、少しだぼだぼであった。


「何であんたなんかが」

 

 小さい幼女のような子。

 可愛らしいのに、何だかムスッとしている。


「カレナ。よろしくお願いいたします」

「む。ちゃん付けで呼ばないで下さい。私はあなたよりも年上ですよ!」


 精霊族は、見た目が幼く見えるのでしょうか?

 本当は何歳なのか、けれども、半分エルフである私もまた、私も若く見えてしまうのでしょうか?


「カレナちゃん。エルフも見た目で判断しない方が良いかもですわよ?」


 そう言うと、カレナはおどおどし始めた。


 ふふふ。

 ちょっと意地悪言ってしまったかな?

「……と、歳とかそんなことは関係ないのです」


 話が聞こえていたのか、忙しいと言っていたアルミナス様が帰ってきた。


「ちなみに、この子は15歳だよ、君の歳は聞かないでおくけども、仲良くしてやってね」

「はわわ。旦那様! 歳の話は秘密ですよ!」



 アイコンタクトを送ってくれるアルミナス様に、私は一礼をした。


「ありがとうございます。仲良くさせて頂きます」


 アルミナス様は軽やかに手を振って、仕事へと向かって行った。


 やっぱり、カレナは私よりもかなり年下。

 優しくしてあげなきゃだな。


「私の方が、この家に住んで長いですから! 先輩なのです!」


 頑張っているあたり、やっぱり可愛いな。

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