第6話 我、祝杯を上げる
ガチャン! と杯を鳴らす音がだだっ広い食堂に響く。
魔王とタイタンはお互いの復活を祝い、配下用の食堂にて酒を酌み交わしていた。
タイタンも世界が滅びた原因に心当たりはないようだった。
彼が倒された時はちゃんと人、亜人、獣人が存在していたと言う。
「んーそっかそっか。大義だったな、お疲れさん。でさぁ我ちょっと遠出しようかと思うんだよね」
「遠出……ですか。どちらへ?」
タイタンはかなりフランクな口調の魔王に困惑しながらも答えた。
「裏側行こっかなって思ってさ。アルベリオンがあんなんだろ? だとしたら近隣も似たような感じになってるハズだし、いっその事裏側まで行けば誰かしら生き残ってるかも知れないじゃん」
「なるほど! さすがは魔の頂きに御座す方!」
ドヤ顔をする魔王へタイタンはゴスゴスと硬質な音を立てて拍手を送った。
魔王の言う裏側とは魔王城の位置する場所の裏側に位置する大陸の事である。
この星は広く、様々な地域が存在するが裏側の大陸は比較的穏やかな気候で、出没するモンスターもかなり弱い部類だ。
魔王の知る直近の勇者が産まれた大陸でもある。
「でも一人だと絶対つまらないと思うんだよな。あそこまでかなりの距離あるから我が全力で飛んでも七日はかかる……」
「であれば魔王様のお力で従者でも創造なされては?」
タイタンの進言に魔王は目をぱちくりと瞬かせる。
その手があったか、的な顔でタイタンを見つめる魔王。
「まさか……ご自分のお力を忘れたわけじゃありませんよね? 原始の魔王と呼ばれた貴方様のお力は……」
「分かってる! 分かってるとも! 別に生き物も創造出来るの忘れてたとかそんなんじゃないんだぞ!」
誤魔化すように声を上げ、高笑いする魔王。
テーブルに並んだ肉の塊と果物を胃袋へ放り込み、どんな従者を作り出すかの議論が始まった。
議論は数時間に及び、結局飛行能力を持つ人型が良いだろうという話に落ち着いた。
「んじゃやんべか」
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