第6話

 僕はまだやることがあるので、と言われて先に休んだが、深夜に起きてしまった。本を読みながら寝落ちしてしまったようで、萩森さんは机に突っ伏している。周りにはくしゃくしゃのティッシュが散乱していた。

 あまりにも無防備で、私はそっと近づいてみた。顔を寄せてみても、起きない。ベッドで休んだ方がいいですよ、と言って起こすのも忍びないので、その場にあったブランケットを掛けた。椅子の背もたれが邪魔だったが、横から背中に寄りかかり、お疲れ様、と言ってみる。何やってんだか、と思うと虚しくなって、またソファに戻ろうとした。

 ゴトっと背後から音がして、暖かな体温に包まれる。

「……」

「……」

「……」

「ありがとう。」

 彼は寝室へ向かった。

 掃除した時、寝具がやたら大きいことに気づいた。ベッド下収納を開けてみると、コンドームを見つけた。

 女性の出入りがあるらしい。つまり、貸してくれた派手な服は、その女性のものだろう。

 どうせこの人も明日で離れるんだ。

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