第2話
車の種類はわからないが、高級車ではないらしいということはなんとなく分かる。私は助手席に乗せられて、男性が右側で運転している。シートを濡らしてしまって申し訳ない。
すぐ近くだと言ったわりには案外遠い。停まった場所は、建てられてからいくらか年月が経っていそうなアパートだった。車に乗っている間、何度か男性を見た。この人は偽善者ではない、という気がした。
導かれるままに付いてきてしまったが、これで良かったのだろうか。一階の一番奥の部屋に入ると、すぐに洗面所に通された。
「お風呂、使ってください。」
そう言い残して、男性、いえ、萩森と表に書いてあったので、
濡れたワンピースを脱ぐと、鏡は下着姿の私を映す。痩せすぎている自覚はある。
「扉の前に服を置きますから、これを着てください。」
萩森さんの声。
シャワールームに入り、蛇口を捻る。熱すぎず冷たすぎず、ちょうどいいお湯が肩にかかった。両手を使い、髪を梳かし、全身にお湯を塗るように丁寧に浴びた。
借してくれた服は、ずいぶん派手だった。
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