突然の呼び出し(3)

 次の日、じいちゃんの怒鳴り声で目が覚めた。

 窓の外はまだ日が上り始めたばかりで薄暗い。


 こんな朝早くから、どうしたんだろう?

 気になって部屋を出たところで、またじいちゃんの怒鳴りごが聞こえた。


 「だから知らんと言っているだろう!貴様、どこの団員だ?王命と言う割には随分と軽装だな。正装どころか腕章もしておらんとは。王国騎士は、いつからお前みたいな礼儀知らずに公務を任せるようになったんだ?」


 「申し訳ありません。なにぶん急な命でして……。休暇でこちらへ訪れていましたら、昨日伝令が届いたのですよ。まさか仕事をする羽目になるとは思っておらず、今回はこちらの書状でお許し願えませんか。この王印が本物だと言うことは、ルドルフ様もお分かりですよね」


 どうやら、王国騎士の人が来てるみたい。

 大事な話っぽいから出て行かない方がいいよね。


 僕は近くの壁に身を隠して、様子を伺うことにする。


 「こんな馬鹿げた命に王印を使うなど、信用に値せんわ。森を焼くだと?何故そこまでする必要がある。見つけたければ探せばいいだろう。どうせ無駄足に終わるだろうがな」


 「しかし、ことは一刻を争う事態です。悠長に探している暇などないのですよ」


 「今まで怠けていたせいだろう」


 「我々は、国中のありとあらゆる場所を探しましたが、それでも手がかりが全く見つからなかったのです。それで、今回ようやく見つけた手がかりがあの森なんですから、陛下がはやるのも無理はないかと」


 「誕生日を待つ子供でもあるまいし、宝欲しさに浮かれて森を燃やしたなどと言われたくなければ、捜索隊でも組んで早々に探すことだな。森を燃やす許可など絶対に出さんからな」


 「それは困ります!許可を頂かないと城に帰れません!」


 「ふん!私の知ったことか」


 「ルドルフ様!!」


 「うるさい!寝ている孫が起きるだろう!さっさと出ていかなければ、外に引きずり出すぞ!」


 「このことは陛下に報告しますからね!」


 バンッと大きな音を立てて閉じた扉にじいちゃんが。


 「あいつが二度と来ないように塩をまいておかないとな」


と、言いながら台所に向かったところで、僕がいる頃に気づいたみたいだ。


 「おはよう、ラルト。ちっと煩くしてしまったな」


 もう、いつもの優しいじいちゃんに戻っている。

 さっきのが騎士団にいた時のじいちゃんかな。

 お父様より怖そうだった……。


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