詩  「雨の世界」

@aono-haiji

第1話 詩  「雨の世界」


水のない世界に

雨がふってきた

ゆるゆる 揺れている 大地が

急に思い出したように

風音かざおとの蓋をあけて

おしえてくれた


さっき

さっきね

あの子が 帰っていくの 見えたよ

あの 高い 高いところに がり

星にふれて

それから

すう  っと

   山のかげをめざして

       落ちていった


いっしゅん そこに

桃色の光が 見えた

ふるさとの 世界を

思い出していたんだ



きみは行ってしまった

ひとりになった 僕は 

たくさん たくさん

泣いたさ

でも


きみは

15年でも

いっぱい いっぱい

思い出を 残してくれた

この 傷つけ合うだけの世界で



もう ぜったい ぜったい 嫌だった

嫌で  嫌で  たまらなかったんだ


こちら側の 世界の光りは

つくりもの だから


こちら側の 世界の言葉は

僕たちのためじゃない


もう 初めから気づいてた


この  世界は  きっと


自分の こころに 

触れたくない人のためにある

それが 誰よりも

強くあるために 大切だから


僕たちは  見てしまった

僕たちは  知ってしまった

この世界に 信じてもいい

約束はなかった



でも 僕は

ひとつだけ 

思い出した

ずっと昔

きみと 僕が

この世界で出会うため

わしていた  約束


“きっと 次の世界で 会おう”


雨に濡れながら 僕は思う

たった ひとつ

信じてる 約束

それをもう一度

かなえるよ

生まれかわって


だから 待っていて

ほんの少し

遅れるけど


必ず また  会えるから


















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