第2話 出会い(後編)
口元に巻いている赤いスカーフをずらし、シートベルトを締める。足をペダルの位置へ合わせて、両手で左右の操縦桿を握る。
座り心地はいつも通りで、機器の状態も好調だ。
全方位モニターのリアルタイム映像と、サブモニターに表示されているステータスも良好。
何も変わらない。
背後で慄いている少年を除けば。
「しっかり掴まっているんだ」
ホシが警告する。少年は呆けていたが、我に返ってこくこくと頷いている。
外套を脱いだ姿を人に見られたのは久しぶりだ。最初はその効果を疑問視していたが、少年の反応を見るに着用は正しい判断だったのだろう。
やはり有名になってしまっている。
などと、分析している時間はあまりないようだ。
『なんだその機体は――乗り換えやがったのか?』
敵機の外部スピーカーから音声が直接聞こえてくる。ホシは目の前にあるコントロールパネルを操作して、オープンチャンネルを開いた。
『な、誰だてめえは』
「ただの通りすがりだ。なにやら誤解があるようだな。停戦を申し入れたい」
ホシの提案に敵対者は応じる――はずもなく。
『ふざけんじゃねえ、俺様の機体に傷をつけやがって。相応の報いを受けてもらうぜ』
「そうか」
ホシは背後へと振り返った。少年は心ここにあらずな様子だ。
なぜか自分をじっと見つめている。恐れよりも好奇心、というような瞳で。
「少年。君の名前は?」
「あ、は、はい、ルグドーです!」
「ルグドー。倒しても構わないか?」
「えっ……バルグを?」
「そうだ。どういうトラブルかは理解できないが、向こうはやる気のようだ。となれば、倒すか逃げるかの二択だが、私が思うに、ああいう手合いはしつこいぞ?」
「じゃ、じゃあ……倒す方向で……お願い、します」
「では……ん、動くぞ」
ホシはパネルのボタンを押し、メインスラスターに火を吹かせた。
変速機をリバースに変えアクセルペダルを踏む。
外套で姿の見えない機体が後退した。そこに敵機が着地する。
遅れて振るわれたハンマーは命中しない。
「試してみるか」
パネルで武装選択をしてトリガーを引く。
外套で隠れていた、左腰に差してあるマチェーテが機体の右手に装備された。
黒い外套のマチェーテを構える機体と黄色いハンマーを持つ機体。
二機のエンハンスドギアが対峙する。
先に動いたのは外套のEGだ。
急加速にて前進し、斬撃を黄色い装甲へと叩きつける。
金属音が響き、バルグの機体がよろめいたが、それだけだ。
「硬いな。民間機を改造したテクニカルか」
『そんななまくらで、俺様が丹精込めて作り上げたエレファントには敵わねえよ!』
バルグの反撃が来る。ホシは機体を跳躍させハンマーを避け、蹴とばしてダウンさせた。
「攻撃、しないんですか?」
恐る恐るルグドーが聞いてくる。ホシはバルグが体勢を立て直すまで待った。
『やりやがったな! タダじゃおかねえ! 死んでも文句は言わせねえぞ!』
「誉れか?」
『あ、なんだ?』
「その行為は、お前にとっての誉れなのか」
サブモニターに映るバルグの顔が、面食らったような表情を作る。
が、すぐに怒りに顔を染めた。
『当然だ! 俺はこれが仕事で、誇りをもって働いている! てめえこそなんなんだ、突然湧いて出てきたと思ったら、人の商売を邪魔しやがって! 俺はただそのガキが商品を盗もうとしているのを止めてるだけだ!』
「そうなのか?」
「……そう、です……」
ルグドーが悔しさを滲ませる。
『そのガキは俺の奴隷だ、所有物だ! なんでそのガキに味方するのかは知らねえがな、俺はそいつを救ってやった恩人だぞ! そのガキは見ての通り、遺伝子操作された実験体なんだよ! 貧乏人が研究所へ売るためだけに作ったガキさ! それを拾ってやって飯を食わせてるんだ! 文句を言われる筋合いはねえな!』
「事実か?」
「はい……」
『これでわかったろ? そのガキに助太刀する義理なんてない。助けても報酬なんかもらえねえぞ。だからよ――』
「そうか、よくわかった」
ホシは左右の操縦桿から手を離した。
ルグドーはショックを受け、すぐに諦観する。
バルグはにんまりと笑っていた。
「ごめんなさい、ホシ……さん」
「気にすることはない」
「すぐ、出て行きます……」
「なぜだ。危ないから動くな」
「え……?」
「掴まっていろと言っただろう」
ホシはパネルに備え付けられている棒状のデバイスへ手を伸ばす。
「状況は理解した」
白色の、剣の柄のように見えるデバイス。下部のボタンを押してリンクを開始する。
「こちらにも躊躇いはない」
サブモニターにアナウンスが表示される。
〈ダイレクトコントローラー・カタナ、接続良好。負荷を事前設定に合わせて変換。アームトレースを開始〉
両手でホシがコントローラーを握りしめると、同じ動作を機体が行った。
「行くぞ」
ペダルを踏み込む。
ホシのエンハンスドギアが駆ける。
加速で頭部のフードが外れ、外套も背中へ回った。
「こ、この機体……!」
全身が露になる。
白のフレームに、黒のアーマー。
武者鎧のような装いは、しかしところどころ劣化している。
アーマーは軽装なものになっており、フレームの露出部分が増えている。
両肩部の鎧袖のような装甲は外されている。腰回りの大楯もない。
右肩部の星のマークも消されていた。
頭部の特徴的な月飾りはなくなり、兜ではなくハットのようになっていた。
それでも、疑いようがなくこの機体は。
「エンハンスドギア――ホマレ!!」
ホマレがエレファントに肉薄する。縦に振り降ろされたハンマーをステップで避け、ホシがカタナで縦切りする。リアルタイムで柄が切り落とされた。
慌てて反撃しようとするエレファントへホマレがショルダータックル。
重量の関係でいとも容易くバランスを崩したエレファントだが、まだ決定打にはならない。
『このアーマーはその武器じゃ斬れねえって言っただろ!』
「ホシさん!」
ホシは突きの構えを作る。そして狙いを定めた。
エレファントの左膝関節――アーマーの継ぎ目へと。
「終わりだ」
マチェーテによる刺突がエレファントの関節を破壊する。
そのまま右に振りかざし、右膝関節も切り裂いた。
両足を失ったエレファントはもうまともに行動できない。
「か……勝った……?」
ルグドーが呟く。モニターに映るバルグは怒り心頭だ。
『ふざけんな! まだ決着は――』
「ついた。もうお前に勝ち目はない。降りて来い」
『は? だ、誰が降りると――』
「先に降りるぞ。来い、ルグドー」
「えっ、はい……!」
※※※
ホシがホマレのハッチを開き、降下用のロープを作動させる。
「掴まれ」
言われるがままルグドーはホシの身体に抱き着いた。
柔らかくて、いい匂いがする。
不思議な、初めての感覚に戸惑いながら地面に降りる。
が、すぐに不安な気持ちに上書きされた。
(襲ってきたらどうしよう)
バルグのエレファントは両足こそ失ったが、スラスターは生きているし、両腕もある。その気になればいつでもこちらをすり潰せるんじゃないか。
という不安は、エレファントのハッチが開いて払拭された。
意外にも、バルグは素直に出てきた。顔面は怒り一色だが。
「この野郎……!」
バルグはルグドーを睨み付けてきた。ひっ、と小さく声が漏れる。
それを庇うようにホシがルグドーを後ろに隠した。
温かい気持ちで胸がいっぱいになる。
「落ち着け」
「これが落ち着いていられるか!」
「こちらは先に申し入れをした。拒否したのはお前だ」
「ふざけ……くそっ!」
図星だからだろう。バルグはそれ以上言わなかった。
代わりに別の質問を始めた。
「てめえ、何のつもりだ? そいつを助けたのは納得できないが、まだいい。だが、なんで俺を殺さねえ」
「誉れだ」
「あ?」
「誉れだからだ」
「……おい?」
訳がわからないという風にバルグがルグドーを見てくる。
そんな目をされてもボクにもわかりません。という想いが通じたかどうかは微妙だが、バルグは天を仰いだ。
「何がどうなってんだ。せっかくの儲けが……」
「お前に一つ提案がある」
「また唐突だな。聞かないという選択肢はあるのか?」
「ない」
「くそったれ。なんだよ」
ホシは周囲を見渡した。大量のスクラップと……EGが集まり始めていた。
搭乗者はその全てが子ども。
バルグの奴隷であり、ルグドーの同類だ。
「全部お前の奴隷だな。後は、数人の大人でここを回しているのか」
「そうだ。ここには誰もかれもがごみを捨てていく。その中にある宝を見つけて売り飛ばす。それが俺のビジネスだ。奴隷たちは、そのための労働力だ」
「そうか」
バルグの発言でみんなの顔が曇った。ルグドーはその中にマッコウを見つけた。
彼は気まずそうにしている。ルグドーも悲しい。
その沈痛な空気は、
「ここにいる奴隷たちの待遇を上げろ。人間として雇え」
ホシの一言で晴れ晴れとしたものに変わった。
「何言ってやがる……? 冗談か?」
「冗談は苦手だ」
本気だと理解したバルグの顔が赤くなっていく。
「ふざけるな! そんな金はない! 俺が贅沢をしているとでも……!」
「している。こっちに来る前に事務所に寄った。無人だったので勝手に探らせてもらったが、随分と資産を貯め込んでいるようだ。あれだけの売り上げがあるのなら、可能のはずだ。贅沢はできなくなるがな」
「か、勝手に探った……? 忍び込んだのか?」
「その点については謝罪しよう。何も盗んではいないから安心しろ」
「てめ……! そもそも俺に何のメリットがある。人権がとか、そういう絵空事か? そんなことをする義理が俺に――」
「儲かるぞ」
「何……?」
「今より儲かる。断言しよう。お前はビジネスチャンスをふいにしてしまっているから、助言をしているだけだ」
バルグは目を丸くしている。今日何度目だろう。
ホシに驚かされるのは。
ホシは仰向けに倒れているエレファントを指した。
「あのエンハンスドギア。スクラップを再利用してお前が作ったんだろう。粗削りだが、その技術力は大したものだ」
「俺の自信作だ。だが、だからなんだってんだ」
「カスタムを請け負え。その腕前なら引く手数多だ」
「そう都合よくいくと思うのか?」
「お前たち大人だけでは無理だが、ここには労働力がある。彼らに技術と知識を与えれば、事業としてやっていけるだろう。EGは生活必需品だし、ここ周辺は粗悪品だらけだ。需要は間違いなくある」
「下手に技術なんて与えちまったら、どうなるかわかんねえだろ。これでも、恨まれてる自覚はある。現に、逃げ出そうとした奴がいるしな」
びくりとする。が、その肩にホシは手を置いた。
安心する。
「だがお前は奴隷たちを守ってもいた。その機体構成は戦闘用だ。対人戦になっても、お前は怖じていなかった。盗賊や誘拐対策だな。子どもたちの栄養状態も悪くはないようだ。お前には、最低限度の信頼がある」
「奴隷は……俺が買った大事な労働力だ。奪われたら損だし、飢えたら仕事になんねえ。ただそれだけだ」
「だが、それだけのことをできない奴も山ほどいる。無論、お前が今までやってきた行為は人道に反するが……改善の余地はある。最低限度の信頼を底上げし、本当の意味で信頼関係を築くことができれば、彼らはお前に応えてくれるだろう。そのためには、食事と休息と技術を与えることだ。そうすれば仕事の幅が広がり、できることが増えてくる。儲けに繋がる」
ホシの提案はいいこと尽くめのように聞こえた。バルグは一瞬目を輝かせたが、すぐに伏せた。夢から覚めた子供のように。
「そううまくいきっこねえ! ここにいるのはガキがほとんどだ! 技術を教えたってすぐには育たねえ! そのためには食わせなきゃならない! 確かに俺には資産があるが、それもすぐに底をついちまう! 土台無理な話なんだよ! ただでさえセカンドアースは落ちぶれた惑星なんだからな! その辺境で成り上がろうなんてのは!」
「養育費用が足りない、ということか」
「そうだ! お前が金を出してくれるのか!? ここにいる奴隷たちのために? 無理だろ! どんだけ高潔だとしてもな!」
そんな都合のいい話はない。
ルグドーはまた諦めようとして、気づいた。
ホシがこちらを見つめている。
「ボクに何か……?」
「君はなんで逃げたんだ?」
「それは……その、自由になりたくて」
「何のあてもなくか? 行き先も、持ち合わせもなく?」
「持ち合わせ……あ」
カバンに入れていた物を取り出す。
スターダストリアクター。小型でも、売れば十分な金になる……。
「理不尽なことかもしれないが、奴隷とは一種の契約だ。終わらせるためには対価を払う必要がある。もちろん、そんな気はないと突っぱねて、主人である彼を叩き切るのも一つの方策ではあるが」
「そ、そんなことはしたくないです」
バルグは嫌いだ。
だけど、殺したいとは思わない。
殺してしまったら、みんなが路頭に迷ってしまうし。
それに、さっきのバルグの様子を見ていたら、彼も本当はこんなことをしたかったわけじゃないように思えた。
たぶんみんな、こうするしかないと思い込んで、縛られてるだけなんだ。
覚悟は決まった。ルグドーはスターダストリアクターをバルグに差し出した。
「お願いします! ボクを、自由にしてください……!!」
頭を下げる。悔しいとか、悲しいとか、そんな気持ちは湧かなかった。
ただ、期待している。自由になれるかもしれないという想いが胸を満たしている。
バルグはどう出るか。永遠と思えるくらいの、たったの一瞬が過ぎて。
「頭を上げろ、ルグドー。お前は自由だ」
しばらく言葉が出なかった。徐々に実感が湧いてきて飛び跳ねる。
「やった! やった!! 自由だ……!!」
「他の連中もな。出て行きたい奴は出て行け。だが、もしここでいいって言うならちゃんと雇ってやる。人としてな。ただ、やることは増えるからそこは覚悟しとけ」
みんなも喜んでいる。マッコウも笑っていた。
が……ルグドーは気付いた。みんなはいい。たぶん、外に行こうなんて思ってる人は少数派だろうし、もしそうだとしてもここで技術を身に着けてから出るに違いない。
だけど、自分はどうすればいいのだろう。自由にはしてもらえた。
けれど……自由って、なんだろう。
「ルグドー」
「ほ、ホシさん……」
推しであるホシが目の前にいる。
一つ、理想的なアイデアは思いついている。
だが、それはあまりにも我が儘で身勝手な考えだった。
だから、少し休んでから今後について考えよう。
そう結論を出そうとした時、
「いっしょに来るか?」
「いいん、ですか……?」
「君は、困っているように見えた。さっきも、行く当てについて答えなかったしな。実質的には私が君を自由にしたようなものだ。そのまま放り出すような、無責任な行いはしない。それは誉れがなさすぎる」
「行きます! 行かせてください!」
迷いのない返答にホシは少し驚き、優しげな笑みを作った。
「では、行こう」
「待て! えーっと、そう、誉れ女!」
「まだ何かあるのか?」
「ったく、人を散々振り回しといてその態度かよ。一つ聞きたい。もし俺がお前がいなくなった後に、提案を蹴って、今まで通りに過ごしたらどうなる?」
「もう一度、戦うことになるだろう」
「そいつはおっかないな。戦って身に染みたぜ。俺はお前に勝てない。いいさ、そうとわかれば真面目にやってみるさ。どのみち、売り物になるようなスクラップは年々減ってた。いずれダメになってただろうしな。……まさか、そこまでわかってたのか?」
「それだけか?」
問われたバルグが懐から財布を取り出す。
「いや。ルグドー、これをもってけ」
投げられた財布をキャッチする。ずしりと重い。
「当面はそれで生活できるはずだ。その間に、自由とはどういうことか考えるこったな。もし居場所が見つけられないようなら、戻ってきてもいい。正直言うとな、お前は相当に優秀だった。遺伝子操作の恩恵か、めちゃくちゃ鼻が効くからな」
「ありがとう……!」
自分を虐げていた人に感謝する。あべこべな気がするが、すっきりしていた。
悪い感情がどこかへと消えてしまったようだ。
「ルグドー! いつでも戻って来いよ! 遊びに来るだけでもいい! その……誉れ女さんもいっしょに歓迎するぜ!」
「わかったよ、マッコウ!」
友達にいつもの笑顔が戻っていた。自分とマッコウはまだ友達でいられる。
その事実がたまらなくて嬉しい。
「バカ、不吉なこと言うんじゃねえ。……いや、本当に客人としてくるならな、歓迎してもいい。その機体、メンテナンスが必要なんじゃねえか? 随分とくたびれているように見えるぜ」
「確かに……」
動画で見ていた時のホマレとは、機体構成が変わっている。
「これがあのホマレ……なんですか?」
「君は知っているようだな、私を」
「知ってるも何も! 大ファンですよ!」
「やはりか。偽装は無駄ではなかったな」
「偽装……?」
「ホマレ・ノマドだ」
「ホマレ……ノマド?」
「今の機体の名前だ。私がかつて乗っていた機体……ホマレに放浪用のカスタムが加えられている」
「へぇ……」
ホマレ改めホマレ・ノマドへとルグドーたちは向かう。
後ろからバルグの声が聞こえてきた。
「さーて、お前ら、ビシバシと……いや、お前らの成長に合わせて教育してやるから覚悟……じゃない、お手柔らかに行くぞ! まずは食事だ! 腹が減っては仕事はできねえからよ!」
コックピットに映るみんなに見送られて。
ホマレ・ノマドが上昇。ホシがブースターを起動させて空の中を駆けていく。
「……一つ質問いいですか?」
「どうした、いや、そうか。質問の話だな」
「はい。最初はホシさんが質問しようとしたんですよね?」
不審者だと思って逃げてしまって、その後のゴタゴタでうやむやになってしまった。
だが、この出会いは、その質問から始まったのだ。
「これを見てくれ」
ホシはパネルを操作して画面の端に画像を表示させた。
自分と同年代くらいの、少女の写真。
穏やかな笑みが特徴的。黒髪に青い瞳の、ホシを小柄にしたような見た目。
「この子は?」
「知っているか?」
「いえ……」
見たことはない。奴隷の中にもいなかった。
「やはりな。ここのデータベースにも載っていなかった。この地域はハズレだな」
「この子を、探して? 誰なんです?」
「妹だ。私は、妹を探している」
「妹さん……」
「君にも付き合ってもらうことになる。構わないか?」
その質問の返答は決まっている。
「ぜひお願いします!!」
これが、二人の旅が始まりだった。
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