第6話 執事と伯爵
「すげぇな!金貨2000万だぞ?」
「家が帰るくらいだな」
「あははは、でもパーティーハウスを作るのもいいかもね」
「ピィー」
「それもいいなぁ。夢が膨らむぜ」
俺らは宿屋で飲んでいる。
いやぁ、宿って本当にいいわぁ。
「やぁ。そこのドラゴンベビーを売ってはくれないかね」
なんか急に現れた執事のような客が不躾な質問をして来る。
「悪いけどこいつも仲間なんだ」
「お断りだな」
「ルナはやれないよ」
「金貨500でもですか?」
「当たり前でしょ売る気はない」
「では仕方ありませんね」
「フリージング」
咄嗟に凍らせた。
「かっ、からだが」
「ただの冒険者と侮ったからな!」
「悪いけどこのまま喋らしてもらおうか?」
「クッ!炎よ「フリージング」」
「こいつ宿ごと燃やそうとしたぞ?」
「危ない奴だなあ」
剣を片手に持っていると、
「すまないがそれくらいで勘弁してくれないか」
高級そうな服に身を包んだ人が出てきた。
「それはできない!俺たちを殺そうとしただけでなくこの宿まで燃やそうとしたんだぞ?」
「見ていたので知っている。そいつは俺の言うことを実行するためには力尽くでもやろうとする奴だからな」
「見てたのならなぜ止めなかった」
「どうするか興味が湧いてね」
「それは答えにならないな」
「どうしたら許してもらえるだろうか」
「まずこいつに土下座させる、ここにいるみんなを危険に晒したんだから貴方も同罪だ」
「わかった」
膝をつき頭を下げて、
「すまなかった」
と言うと執事のような奴は泣いていた。
解除すると土下座をして申し訳ありませんでした。とだけ言って高級そうな服の人のところへ行き、
「申し訳ありません」
「いや、相手が悪かったな」
「貴方達、これは高く付きますよ!」
「そっちがしてきたんだろうが」
ギースが言うときっと睨み返す。
「やめないか!」
「申し訳ありません」
あいつの言うことを忠実に実行するなあいつは。
「ドラゴンベビーはやれないが、オークションでいいでものがあるぞ?」
「そうか、それではそれを期待しておこう」
宿から出ていくとみんなほっとしたのかガヤガヤと元に戻った。
俺たちもまたそのことを忘れて飲んで騒いで部屋で寝てしまった。
翌朝もよく晴れたが今日は休日にしてある。
たまには休みもいるからな。
ルナはまだ夢の中だ。
俺は雷魔法を創造しちょっと休んでからプロテクションの魔法を創造した。
今回のことで氷魔法だけでは相手をしは割れないことに気がついた。ならば防御するか、動けなくしてやればいい。
ちょっと疲れたと下に降りようとするとルナが起きてきて頭にしがみつく。
下に降りるとギースとウィスが昼間から飲んでいた。
「飲み過ぎだぞ?」
「ただのエールで酔えるほどじゃないねぇ」
「酔ってるじゃないか、本当にもう」
「あははは、この街はいい街だな」
「昨日のことがなければね」
「オークションが三日後だからそれまで大人しくしてろよ?」
「「あい」」
女将に水をもらっていっぱい飲むとまた部屋に戻る。あと創造魔法で作りたいのは魔法を消す魔法だな。
デリートと名付けた。
ふぅ、少し疲れたな。
作りたいのは山ほどあるが今はこの辺りでいいだろう。
ギースもウェスもこの街を気に入ったみたいだな。
時の流れ早くもう三日後のオークション当日だ。俺たちは大トリで最後に出品することになっている。
どんどん進んでいくオークション、今回はいい出物がなかったようでみな金貨100も使ってないようだな。
それか最後に賭けているかだが、
ようやく呼ばれたので一礼してまずは地龍の素材から出す。金貨600枚で売れた。
「ここからは凄いですよ!なんとレッドドラゴンを、血も一滴も漏らさないで一頭丸々の出品です!」
“ドスン”と出すと上がる上がる!
やはりレッドドラゴンはそれほどまでに希少なんだなぁ。
と思っていたら3000万が出た。よく見ると昨日の紳士だった。
それ以上はみんな出せないようで、3000万で落札となった。受け渡しは俺が持っていかないといけないからしょうがない。
「久しぶりだな、こんなに熱くなったのは」
「そうでしたか」
「レッドドラゴンを倒したのは君だね、でその子供が君の仲間か、そうかそうかでは親の方も丁重に扱わないとな!」
お屋敷に招かれてここに出してくれと言われたので出す。執事も一緒だ。
「さてどうしようか?剥製にして飾るのもいいな、いっそ鎧でもだが迫力がなくなるので剥製だな」
「了解致しました」
「肉は全て食べるぞ!血もソースにして!」
「了解致しました」
「ふおぉ、贅沢ですねぇ!こんなのの剥製なんて驚くでしょうね」
「だろう!これはいい買い物だった!ありがとう!」
「では氷を溶かしていただけますか?」
「はい」
解除すると今まで生きていたかのように血が飛び散るが袋に入れているのでなんとかなっているようだ。
「それではこれで!」
「ドラゴンステーキは食べないのかい?」
「この子の親ですからね」
「そうか。そういうこともあるな」
「ではまた」
「あぁ、またいいものがあれば見せに来てくれ」
「はい」
館を出てからようやく一人になれたと思ったらさっきの執事。
「この前はすいませんでした」
「いえ。こちらこそ不躾でしたので」
「あんなに興奮された旦那様を初めて見ましたので改めてお礼を」
「いえ、私は貴方を殺したくはないのでここで別れませんか?」
「そうですね、私では勝てそうにございませんから」
ようやく肩の荷が降りた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます