懐古と私Ⅰ
人間を始めたての時、知識の中にあった四肢の動かし方を実践するのに夢中になっていた。
知識の中にあったものが目の前で存在することに興味を示した。
両親と呼ばれる生き物たちは普段より半音上げた音で私に話しかけて、にこにこしていた。まだ上手に操作できない四肢をじたじたと動かす私の手を取り足を取り世話をしてくれた。
いつも隣りにいた赤ちゃんと呼ばれる生き物たちは、常に涙と呼ばれる液体とともに大きな音を出すことで喜怒哀楽を表すまわりの小さな生き物たちは、知識の中にあった私より小さいはずなのに目線の高さが同じだった。
私には彼らの感情は読めないのに両親という生き物はひとりひとりの感情を聞き、対処していた。
両親という生き物は私の知識の中にあった両親以上の性能を持つらしい。
四肢の扱いにも成れ言葉を発することができるようになってから私は、知識の世界と存在情報の照らし合わせに夢中になった。植物、事象、五感、中でも私が1番興味深く感じたのは周りの小さな生き物たちの感情から出る因果関係だった。私の理解を超えたそれは、私のカメラの高さが高くなるのに合わせて複雑化していった。
Aが起こると腹立たしくて、
Bになると悲しくて、
Cになると嬉しくて、感情というものは杓子定規には進められないもので。
感情と格闘する私はまだ理解し得ないまま小学校に入った。
人に成る @Suzaku_Fuuse
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