第5話日曜日のコンビニ

白井と動物園デートを終えた翌日の日曜日のこと。

「お母さんとお父さん。ショッピングモールに行ってくるけど。一緒に行く?」

目覚めてすぐに階下のリビングに向かうと母親は僕に尋ねてくる。

「いや、行かない。テスト近いから勉強してるよ」

「そう。じゃあお昼は適当にコンビニとかで済ませておいて」

母親は財布の中から千円札を二枚取り出すと僕に手渡した。

「ありがとう。もう行くの?」

「うん。光が起きてくるの待ってたのよ。じゃあ行ってくるから」

両親はそのままリビングから抜けていくと玄関へと向かう。

靴を履いて玄関の扉を開くと駐車場に停めてある車に乗り込んで姿は見えなくなった。

リビングに戻ると朝食らしきものが用意されており、それを食しながらテレビをぼんやりと眺めていた。

適当にザッピングをしながら朝食の時間が過ぎていくと歯を磨いて寝癖を整えた。

そのまま自室に向かうと教科書とノートを開いてテスト範囲の復習を進めていく。

しばらく勉強に集中していると思い出したかのように夏のことが心配になる。

(夏はテスト大丈夫なんだろうか?)

軽く心配をするとスマホを取り出してメッセージを飛ばした。

「勉強してるか?」

「一応してる」

すぐに返事が来て一安心すると適当なスタンプを返しておく。

朝十時辺りから正午過ぎまで勉強の時間に費やすと丁度空腹感を覚えて部屋を出た。

母親からもらった二千円を持ってコンビニまで向かうと昼食を吟味する。

いつもより豪華なお弁当と飲み物とお菓子を適当にカゴに入れるとレジまで向かった。

「こんにちは。今日は一人?」

いつものように堺がレジには立っていて軽く挨拶を交わす。

「こんにちは。テストが近くて。今日は一人でテスト勉強です」

「そうなんだ。勉強は苦手?」

「苦手な教科もありますけど…嫌いではないですね」

「そう。ちょっと残念だな…」

堺は急に落ち込んだような表情を浮かべて流れるような作業でお弁当をレンジに入れて温めを押していた。

「何が残念なんですか?僕って頭悪そうなイメージだったんですか?」

軽く嘆息しながら問いかけると堺は否定するように首を左右に振る。

「違う違う。今日のシフトが十三時までだから。もしも勉強が苦手だったらお姉さんが教えてあげようと思ったんだ。でもその必要は無さそうで残念ってこと」

「あぁ〜…そうだったんですね…」

何とも言えない返事をしてドリンクコーナーの方に掛かっている時計を目にする。

堺のシフト終了時間である十三時はすでに迎えており五分ほどが経過していた。

それを確認すると僕は堺に提案をする。

「あの…良かったら勉強教えてほしいです。わからないところもあるので…」

「良いの?いつもの娘に教えてもらわなくて」

「夏は僕よりも成績悪いんですよ」

「へぇ〜意外だね。見た目は頭良さそうなのに」

「ですね…」

「じゃあもう上がるから店の前で待っていてもらっても良い?」

それに頷くと堺がバックヤードで着替えてくるのを待つのであった。

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