第2話なんかいい感じ?

「藤田くんは休日をどの様にして過ごすのですか?」

唐突のことだが昼休みに自席で朝コンビニで買ってきたおにぎりを頬張っていると隣の席の白井麗に話しかけられる。

「どうだろう。ゲームしたり漫画読んだり…かな?」

口の中のおにぎりを飲み込むと答えのようなものを言葉にすると白井は複雑な表情を浮かべて軽く頷いた。

「インドア派ということでしょうか?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど。休日にまで学校の友人と会うのは疲れるかなって…」

「そうですか…」

僕の言葉を耳にした白井は残念そうな表情を浮かべると机に視線を落とす様にして俯いた。

「あれ?何か問題あった?」

白井の表情を確認すると彼女の顔を覗き込むようにして問いかける。

「そうですね…」

「何?言ってみてよ」

優しい口調で白井の口を開かせようと促してみると彼女は恥ずかしそうに渋々口を開く。

「私も友人にカウントされるのでしょうか?」

「ん?どういう意味?」

「その…学校の友人とは休日に会いたくないんですよね?」

白井の言葉を耳にして僕は彼女の言いたいことを少しだけ理解できてハッとする。

「あぁ〜…白井さんとなら休日にも会いたいかな…」

正直な想いを口にすると彼女はパッと顔を明るくさせて嬉しそうに微笑んだ。

「本当ですか!?じゃあ今度一緒に行きたい場所があって…」

白井がそこまで言葉を口にしたところで黒板の前で屯していた女子グループの輪から夏がこちらに向けてやってくる。

「光〜。土日使ってテスト勉強しよ〜」

夏は白井の言葉を遮るようにして話に割って入ると僕の席の前にやってくる。

「え…嫌だけど?」

「は?なんで?」

急に圧強めな態度で僕に詰め寄ってくる夏の表情を目にして背中に嫌な汗をかくが、ここははっきりと断っておきたかった。

「ごめんだけど。今は白井さんと話してるから。帰り道にでも話そう」

「ふぅ〜ん。そう。わかった」

夏は冷たい視線を僕らに向けるとそのまま元いた場所へと戻っていく。

「ごめん。話の途中だったね」

白井に謝罪の言葉を口にして話の続きを促すと彼女は複雑な表情を浮かべて遠慮がちに言葉を口にする。

「あの…本当に日向さんとは付き合ってないんですよね?」

「もちろん。距離の近い幼馴染ってだけだよ」

「それなら良かったです。日向さんは明るくて可愛いので…心配で…」

「心配?」

「いえ。こちらの話です。それで今週の土曜日にでも行きたいところがあって」

「うん。喜んで。どこに行きたいの?」

「ここです」

彼女はスマホの画面を僕に見せつけるとウキウキとした表情を浮かべていた。

「動物園?幼い頃以来行ってないから楽しみだな」

「そうなんですか?じゃあ土曜日は目一杯楽しみましょうね?」

それに頷いたところで昼休みを終えるチャイムが鳴り響く。

生徒は午後の授業に向けて教科書とノートをカバンから取り出す。

放課後に待っているであろう夏からの問答にどの様に返答するのかをイメージしながら授業に望むのであった。

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