その5 やりすぎた……

 やりすぎた……だって、あまりにも可愛かったんだもん♪


 元の世界じゃ勿論こんな小さい子にシちゃうのは犯罪だ。まだオナニーも覚えてなさそうな娘に色々教え込む……うふふ、まるでどこぞの金持ちのおじさまの趣味みたいだわ。


 ……この子よりも、私の方が余程犯罪っぽい身体付きだけどね。


 私の横で放心状態になっていた、汗と涎と体液でベタベタになっている裸の少女に尋ねる。


「…そういえば」

「…ひゃ、ひゃいっ!」

「まだお互い名前も言ってなかったわね、ふふっ」

「…あっ」


「私は藍……あいよ、よろしくね」

「はっ、はいっ! ワタシは〇〇村の??の娘、**です」


 ……? なんて?


「ごめんなさい、もう一度言って貰えるかしら」

「え? あっはい、**です」


 ……聞き取れない。勿論元々私の国の言葉ではないが、先程まで問題なく翻訳されていたのに。


「……どうしました?」


「……何度もごめんなさい。どうも私の国の言葉と発音が違うのか聞き取れないの……一度私の名前を言ってもらえるかしら?」


「はい……あいさん、ですよね?」


 ちゃんと聞こえる。一度私が聞こえた発音で彼女の名前を言ってみたが通じなかった。どうも今いる世界の固有名詞は翻訳が働かないようだ。


「……ごめんなさいね」

「いえっ、藍さんの好きな様に言って貰えればっ」


 聞くとこの世界には名字という物が存在せず「〇〇村の??の娘、**」という感じなのだそうだ。私の名字がどうしても思い出せないのもその「ルール」のせいなのかもしれない。とはいえこのままでは不便なので、


「うーん……じゃ、「ネコ」ちゃんと呼ばせてもらうわ」

「ネコ?」

「この国にいるのか判らないけど、私の国にいる……これ位の大きさの可愛らしい動物よ……アの時の声がちょっと似てるのよね♪」

「……!? は、はいっ……それで構いませんっ!」先程までの情事を思い出したのかポッっと赤くなるネコちゃん。かわいい。


 ……さて、他の事はどう言おうか。少し思案して。


「……私はこの国の者ではないのだけど、どうも記憶が曖昧なの。この国の常識を含め色々と教えてくれるかしら」

「はい、ワタシに分かる範囲でしたら」彼女は疑わずにいてくれたようだ。


 ※なろう(ミッドナイトノベルズ)では此処でネコちゃんの全裸含めイメージ絵が入ってますたが、カクヨムでは公開ムリポ^p^※


 彼女、ネコちゃん曰くこの国……やはり名前は聞き取れなかった。仮の名前をつけておこう。

 ええと……こういうの名付けるの苦手なのよね。色とかそういうのでいいか。ここはアオの国、そこの南東部に存在する彼女の村、ミドリの村の近くにあるクロの森と呼ばれる所らしい。

 深い森ではあるがこの休憩場所から2時間も歩けば外に出られたらしい。頑張ればあのままでも脱出は出来た様だ。


 歩きながら話しましょう、という事になり彼女の服を2人でシェアして歩く事になった。私は下着、彼女は上着がないが先程迄の自称文明人よりは全然マシだ。


「……そう、お母さんの為に薬草を……」

 ネコちゃん曰く、この森自体は広さの割には住み着く動物も少なく、開拓されている部分迄ならほとんど危険がないらしい。確かに私の歩いてきた道もいわゆる獣道じゃなく、整地こそされてなかったが人が歩いて作ったような感じはしていた。

 彼女が取りに来た薬草は村では栽培が出来ないらしいが、子供でも問題なく取りにいけるらしい。

「いつもはオオカミ……はい、さっきのケモノですけど、ヒトを恐れて滅多に出てこないのです。出てきても、ホノオを見せれば近付いてこないのですが」


 そう、先程も見たがファンタジーの定番、魔法だ。


「へぇ、私にも使えるのかしら」

「はい、初めて使うにはちょっとコツがいるのですが、藍さんにも魔力は感じますので、使えると思います」


「……ですが、先程のオオカミには何故か効かなかった……ホノオも、ミズも、あんなに練習したのに……」

 先程の件を思い出したのか、彼女はぶるぶると震えだす。私はもう大丈夫よ、と彼女を抱きしめ落ち着かせる。

「本当に、ありがとうございました」

「いいのよ。あのようなケモノは今までも居たのかしら」

「……いえ、ワタシは勿論村の人も、魔法が効かないケモノなんかに会った事がありません」

 確かに魔法が使えるとはいえ、こんな少女が武器も持たず1人で入っているような森だ。


「でも先程、藍さんは木の棒のようなもので次々とオオカミを倒して」

「……そう、ね……」

 あの事については自分でも驚いている。私の体力じゃいくら武道を嗜んでいたとはいえ、石やら槍やら拳やらで自分よりも大きな獣の頭を吹き飛ばすなんて出来ない。まるで誰かに操られたかの様に簡単に5匹の狼モドキを全滅させていた。

 血や肉が飛び散ってもお構いなしに、人助けとはいえ初めてした生命を奪う行為……思い出して少し気持ち悪くなってきた。


 ……あの力はもしかして、らいとのべるの主人公が手にするチート能力恩恵というものだろうか? あんな力技な恩恵とは勘弁して……念の為ぼそっと「ステータス」と呟いてみるが、目の前には何も出てこなかった。


「藍さんは凄いです! 魔法が使えないのにあんな石や木の棒で……」

「一応先端を削って、槍のようにしていたのだけどね」

「ヤリ?」

「ああ、長い棒の先端を細く尖らせて、相手を突き刺す武器よ。本来先端は石や鉄で出来てるのだけど」

「……ブキ?」

 どうも様子がおかしい。詳しく聞くとなんと彼女の村では「武器」というのが存在しないらしい。考えたら彼女のような若い娘でもあれ程の火や水、風の魔法が使えるのだ。普段は武器を持つ必要性はなく発展しなかったのかもしれない。


 彼女は少し考え、

「またさっきのオオカミのように、魔法が効かないケモノが出てきたら……ムラオサさまに相談しないと……申し訳ないですが村に到着したら一緒に会ってくださいませんか?」

 私もこれからの身の振り方を考え快諾した。

「ま、まずは格好をどうにかしないとね。いくらなんでもこの格好では……ね?」

「わ、ワタシの家で服をお貸ししますのでっ!」


 それから村に着くまで数時間、色んな話をした。

 

 ……年齢の事をいった時はやはり驚かれていた。この世界の人間の寿命は私の世界より若干若い程度(平均寿命60歳程度?)らしい。時間の概念や日、週、月、年の概念も呼び方はともかく変わりがない、安心した……むしろ合いすぎて何らかの意志を感じる位だ。まあ色々と知っていけばいいか……魔法の事も含め。


 そうこうしているうちに

「あ、あそこがワタシの村です」

 広さはそこそこだが家が10数軒しかない、村というより集落という方が似合う場所についた。


「あっ、**ちゃん! ……何で裸なの?」

 20代後半~30代くらいの、衛兵らしい短髪の女性が話しかけてくる。身長は170センチを越えてそうだ。面倒見の良さそうな美人だしとんでもないおっぱいで羨ましい。


「駄目じゃない、いくらあの森でも1人でこんな時間まで! お母さんと妹さんが心配してたよっ!」

「ごめんなさい……」

「全く、熱冷ましの薬草なら言ってくれれば取りに行ったのに……おや、そちらの子は?」

「あ、実は……」ネコちゃんはゆっくりと経緯を話した。衛兵の女性は魔法の効かないというオオカミに驚きつつ、やはりムラオサさまへの相談を勧めてくれた。時間も遅いので明日朝イチに訪れる事になり、今日はそのまま彼女の家に泊まる事になった。

 ネコちゃんの家に着くと彼女は母親にちょっと怒られた後、ぎゅっと抱かれていた。親のいない私にはちょっと羨ましい。

 彼女の母親は30代前半くらいだろうか?ネコちゃんをそのまま成長させたような美人だ。熱の所為でまだ顔色は悪いが思ったより元気そうだ。


 ひとしきり歓迎をうけた後、衣服の貸与と夕食の接待を受けた。失礼ながら簡素な食事だったがとても美味しかった。

 7、8歳の妹さんは最初人見知りしていたが、すぐ砕けてくれた。彼女に似てて可愛い。

 ……思えば御衣も、初めて家に来た時、こういう風に人見知りだったっけ……やんちゃな下の妹を思い出した…。

「……藍さん、大丈夫ですか?」

「……え?」

「どこか痛めてたのですか? あの……涙が……」

 ネコちゃんの言葉で泣いていた事に気付いた。少し感傷的になったようだ。

「…ごめんなさい、大丈夫よ」


 そうだ、ここは「異世界」なのだ。元の世界では今どうなってるのだろうか?

 まだ体感時間では1日経ってないとはいえ、こんな夜遅くまで連絡もなしに家にいなかった事はない。

 舞も、御衣も、ちゃんとご飯の用意出来たかしら。本家のおじさんおばさんに迷惑かけてないかしら…。


 舞の友達が3人ほど遊びに来てたけど、泊まっていったのかしら…。


 色々な心配事が頭をよぎったが、ネコちゃんの心配そうな顔を見て、とりあえず考えるのを中止した……まずは、私がこの世界で生きのびなければ……。


 寝る部屋は彼女の部屋になった。

「流石に、今日はもう出来ないわね。お母さんや妹さんに、ネコちゃんの可愛い声聞こえちゃうもんねっ!」

「!!!!!」また真っ赤になる。かわいい。


 こうして慌ただしかった私の異世界生活一日目が終了した。

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