第32話「笑顔の再会」

「よっ!」


 扉を開けた後、呆然としてこちらを見つめている五十嵐に対し、俺はわざとらしく笑顔で手を挙げた。


「なんで、君が……?」

「単純な話だ。お前が通る道よりも早く来れる道を選んだ、ただそれだけのことだよ」

「そう意味じゃない……! なんで、ここにいるんだ……!?」


 あの、常に人を喰ったような腹立たしい態度を取っている五十嵐が、明らかな動揺を見せている。

 さすがに、この展開は読めなかったようだ。


「逆に尋ねようか。なんで五十嵐先生が、ここに来たんだ? そしてどうして、扉のパスワードを知っている?」


 俺は銃を五十嵐へと構える。

 ギフトが効かない俺に対し、五十嵐の抵抗手段は銃か近接戦闘しかない。

 しかし、五十嵐が少しでもおかしな行動をとれば、俺は容赦なく引き金を引く。


 それは、五十嵐にも伝わっただろう。


「…………」


 五十嵐は額から汗を流しながら、黙り込んでしまった。

 必死に言い訳を考えているようだ。


「ここには幼い子供が軟禁されていた。お前がパスワードを知っていたということは、犯人はお前だな?」

「――っ。そ、それを言うなら、君だってそうじゃないか! 僕より先に入っていたんだし、幼女を軟禁した容疑を僕になすり付けようと――!」


「おいおい、俺は幼い子供だって言ったんだぞ? なんで、女の子だったことを知ってるんだ?」

「あっ……!」


 五十嵐は『しまった!』という表情で顔を歪める。


 もう少し頭がキレる奴だと思っていたが……今まで圧倒的な能力と、身を潜めて仕掛ける側だったから厄介な男だっただけで、先手を打たれると大した奴ではないのかもしれない。


 いや、むしろ――こうやって先手を打たれる経験がなく、修羅場を経験してこなかった奴だから、咄嗟の出来事に弱いのか。

 そういえば、ゲームでもそんな感じだった気がする。


「どう証拠を掴むか、つい最近まで悩んでたんだが――こうして、証拠を残してくれて助かったよ。おかげで、遠慮なくお前を捕らえることができる」


 俺はそう言うと、逃げられないよう五十嵐の両足に銃弾を撃ち込んだ。


「こ、この……! 少女誘拐くらいで、相手に銃弾をぶちこんでいいと思っているのか……!?」

「とぼけるなよ。お前が《神々の使徒》のボスだってことは、わかってるんだよ」

「な、なんのことだ……!?」


 あくまで五十嵐は、シラを切るらしい。


「お前が桂を切り捨てなければ、言い逃れできたかもしれないのにな。ほんと、馬鹿なことをしたものだよ」


 桂の催眠なら、こいつに自白させることも、他に捕らえた神々の使徒から聞き出すことも可能になる。

 俺や組織にとっても、かなり貴重な存在なのだ、桂は。




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【あとがき】


読んで頂き、ありがとうございます(*´▽`*)


段々と終わりが見えてきていますが、

最後までお付き合い頂けますと幸いです(≧◇≦)


もうじき、新作ラブコメも投稿しますので、

是非是非よろしくお願いします♪

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