第8話「目指すべき結末」
「――影之君が来てくれるのは心強いけど、本当によかったの?」
車で移動中、運転をしているメンバーの女性――
「珍しいよね、影之君が自分から志願するなんて。普段なら嫌々仕事押し付けられてるのに」
そして、助手席に座っていたもう一人の女性――
確か、進藤さんが二十七歳で、桜木さんが二十三歳だったか?
主人公にとってはお姉さん的存在だけど、俺からすると二人とも年下なのでちょっと複雑だ。
「そんな嫌々ですかね?」
「言葉にはしないけど、顔で嫌そうなのをアピールしてる」
「なるほど……」
まぁ義父さんが俺に割り振るのは、たいていめんどくさい仕事なんだから、それも仕方がない。
「まぁ、勘なんですが……俺も行ったほうがいいかなって」
というか、この先俺の力は必要となる。
なぜなら、例の組織は待ち伏せをしており、戦闘連絡を受けて俺が駆け付けた時にはもう、この二人は殺されていたのだから。
そして、俺はその後交戦したのだけど――それじゃあ、手遅れだ。
自分が関わったことでこの二人が死ぬことにより、桂は取り返しのつかない過ちを犯したことになる。
それは最期まで引きずっていたし、そのせいでこちら側にこれなかった。
だから、ここだけは絶対に止めておかないといけない。
「影之君の勘も結構当たるからなぁ」
「えぇ、例の組織がいるかもしれないって考えたほうがいいのかもね。となると、取引目的ではなく、待ち伏せの可能性が高いけど……」
「え、えぇ……!? それは勘弁してくださいよ……!」
桜木さんは血の気が引いたように驚くが、進藤さんの考えは正しい。
例の組織なら、チンピラが捕まったという情報は手に入れているだろうし、それでも約束の場にいるとなると、こちらを返り討ちにするために待ち伏せをしていると考えるべきだ。
本来なら、警戒をしている以上、この二人はそう簡単にやられない。
だけど――今回は、相手の《ギフト》が凶悪すぎる。
警戒をしていればどうにかなるというものでもないのだ。
しかしそれに関しては、俺がいる限り問題ないだろう。
それよりも問題は、シナリオとかなりずれるということだ。
本来であれば、逃走する敵を追いかけ、俺はメインヒロインの一人とバッタリ出くわしてしまう。
そこで協力し、敵を捕らえるのだが――本来の時間よりも早く、俺は敵と交戦になる。
だから、メインヒロインの力は頼れない。
この二人と協力して、敵を捕らえ、桂を取り逃がす――というのが、俺の目指すべき結末だ。
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