第16話 巫女
「………」
「
空の城の巫女の間にて。
壁と床と同様に全身も紅に染まる巫女の和秋に呼び出された桜霞は、ぽやりぽやりと話しかける。
「姫様」
「なーに?」
「よいのですか?」
「なにが?」
桜霞に背を向けたままだった和秋は、さてどうしたものかと考えた。
(どうせ言ったところでとぼけてちゃんとした答えなど返って来ぬだろうが)
「そなたのお気に入りの飛脚が迎え入れた狐と狼です」
「大丈夫よ。弥栞が気に入ってついてきた子たちなのだから」
「………仇をなす存在やもしれませぬ」
「大丈夫よ」
「あの飛脚にあまり過度な期待をなされますな」
(裏切られる、か)
『あの狐か狼があちら側に引き入れるか、はたまた自分の意思で裏切るかもしれないのですぞ』
仰々しい音を立てながら開く巫女の間の大きく赤い扉から出て来た桜霞は、大きく背伸びをして、退屈だったなあと、ぽやりぽやり呟いたのであった。
(2023.10.7)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます