第5話 まなざし
「ごめんなさい!ちょっとそこの恋人と喧嘩しちゃって。怒りが収まらなくって。懲らしめてやろうって。つい。姫を脅かす敵だって嘘をついちゃって。本当にごめんなさい!」
呆気なく敵を二人捕まえる事ができた警備兵二人と城門から動かなかった警備兵一人は、頭を深く下げる姫の飛脚を務める馴染みの少女に呆れた眼差しを向けた。
「まったく。今後はこんな嘘をつくんじゃないぞ」
「はい。ごめんなさい」
「で。どっちが恋人なんだ?」
「どっちもです」
「「「………どっちも?」」」
「はい」
「「「………まあ。人それぞれだよな」」」
自分は恋人一人派だけど。
恋人二人を連れて去って行く少女を見送った警備兵三人は向かい合って深く頷き、肩を組み合ってのち、また城門を守る仕事を再開させるのであった。
「マジで!手間かけさせるなよな。相棒。と、どっかの誰かさん」
空の城から遠ざかり人気がなくなった林に入った少女は、血走った目を向けた。
ひとくくりに結んだ紺青色の長い髪をふわりふわりと浮かせては沈ませる、髪と同じ色の袴姿で草履を履き、日本刀を腰に携える男性と、シルクハット、マント、タキシード、革靴が白一色に染まる中、唯一丸サングラスだけが黒の性別不明の人に。
(2023.9.25)
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