カップめん!〜ギャルの幼なじみと俺は毎週金曜日、カップ麺を食べる〜(仮)
@raamenman555
第1話 コップヌードルしょうゆ
この物語はフィクションです。
実際の人物、団体、企業とは一切関係ありません。
俺は料理ができる。
両親が共働きだから自然と身についたスキルだ。
だがしかし、週に一回はカップ麺を食べる。
なぜかって?
好きだからだ。深い意味はない。
将来の夢は?と聞かれてもラーメン屋とは答えない。だって俺はラーメンを食うのが好きなんだ。好きは仕事にしたくない。
「遠野もカラオケ行く?」
「あー、俺は遠慮しとくよ。」
「そっかー、マジかー。」
うん、絶対人数足りないから呼んだだけだよね?その悔しがり方。
まあいい。今日はカップ麺を食べる金曜日だからな!どんなことも許しちゃう。
家に着き、戸棚を開ける。
今日は何にしようかな、三平ちゃんかな?ピヤングかな?それともごり盛り塩?
おい、焼きそばしかないじゃないか、焼きそばも好きだし、好きだからこんなにあるわけだが、今はラーメンが啜りたい気分なのだ。
「コンビニ行くか」
コップヌードルのしょうゆを二つ買って、帰路に着く。
そして家の前には、うちの制服を着たギャルが倒れていた。
「おい、なんで寝っ転がってんだ。」
「あっ、傑じゃん。」
「わざわざ家の前で倒れておいて白々しい演技をするな!」
こいつはなんとなく俺が苦手意識を持っている人間ランキング第一位の、、、同じクラスの、、、保育園の頃から知り合いの、、、幼なじみ。名前は真城撫子。
「あたし今お腹すいて死にそう。」
「ダイエットしすぎてご飯全然食べてなかった的な?」
「自分で飯くらい買いにいけよ。」
「疲れて歩けなかった……」
「あぁ、そう……」
俺はドアを開けて家の中に入る。
「お邪魔します。」
「おい、ナチュラルにくんな。」
「ハッ!その良い匂いは!」
「いやカップ麺はお湯いれないと匂いしないだろ。」
「なるほど、カップ麺か。」
こいつっ!情報を引き出しやがった!
「お礼はするから食べさせてくださいお願いしますなんでもします。」
「なんでもって、なんでも?」
「縄跳び500回くらいの労力のことならする!します!」
「……分かったから、食ったら帰れよ。」
「ありがとう!そういうとこ好き!」
「今日はカップ麺の日だから全てん許すんだよ。」
「なんか冷たくない?」
「中学の時から高一の現在までずうっっっっっっと言ってるけどギャルは好きじゃないんだよ。日本人っぽくないから。」
「でもあたしの名前撫子だよ。」
「知ってるわ。」
お湯を注ぎ、タイマーを起動する。
「髪も黒いよ?」
「見たらわかるっつの。」
「たしかに!」
アホの子なのだろうか。
「ていうかあたしカップ麺初めてなんだよね。」
「なっ!?」
「夏休みの時のお昼ごはんとかどうしてるんだ?」
「そうめん。」
「飽きるだろ。」
「飽きないよ、うちのめんつゆバリうまだから!」
「ほう。」
「今度お礼に持ってきたげるよ。」
「また来るのか?」
「いつがいい?」
「金曜日だな、親にお前のことを見られたくない。」
「金曜日親いないの?」
「平日は毎日いないっちゃあいないが金曜日が一番遅いからな。」
「うちも毎週金曜日親いないんだよね。でさ、一人は寂しいじゃん、誰かとご飯食べたいじゃん、コンビニ弁当飽きたじゃん?だからまた来ていい?」
「いや、毎週カップ麺だからコンビニ弁当飽きたは分からん。」
「質問に答えてよ……」
タイマーが鳴る。
「ともかく、初めてのカップ麺としては良いと思うぞ。」
「コップヌードル。」
「これが噂に聞く!」
「いただきます!」
「いただきます。」
「啜ると汁飛ぶからシャツ汚れないようにな。」
「はーい♪」
麺を啜る。具を食べる。麺をすする。
前世からきっと俺はこれをやっていたのだろうと思うほどスムーズに食べすすめていく。
「すごーい!」
「早くしないと伸びるぞ。」
「たしかに。」
「ズズズズッ」
「おいしい!」
「具も結構入ってるね。このお肉ってなんの肉?」
「謎肉だ。」
「?」
「まあ、毎週ここでカップ麺を食べれば次第にわかるさ。」
「毎週来ていいの?」
「まあ、な。金さえ払ってくれるならいいぞ。」
「やったぁ!ありがとう!チューする?」
「しねぇよ。」
「じゃあ、また来週ね!」
「俺のとっておきを毎週食わせてやるよ。」
「マジかー。ダイエット頑張るわ。」
「俺は無理に痩せなくても良いと思うぞ。」
「あたしが痩せたいの!」
「そうか。」
「じゃあまたね!」
「おう。」
さっき、苦手って言ったけど本当はそうじゃない。
ずっと彼女のことが好きだから、あまり関わらない言い訳を自分で作ってるだけだ。
高校一年生、帰宅部、男子。
俺の名前は遠野傑。
ただの高校生だ。
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