第19話「執筆」
柊優に相談をした後は色々と忙しかった。
じいちゃんの花火のことについて手伝ったり書籍化について色々やったりと…
書籍化打診については速攻でOKを出した。
家にはいないが父さんに電話で話したところその話は受けるべきだと言ってくれて僕は書籍化準備を始めることとなった。
声をかけてくださった出版社様も大手の会社だったので安心してOKサインを出すことができたのだ。
ついてくれる担当の編集者さん
「うちの会社は書籍化決定から書籍化までがすごい早いんですよ、しかもさらゆ。先生の作品はもうすでに100万字以上書かれていましたので私が1巻分となる10万字程をすでに校閲していますので修正箇所を直したらすぐにでも印刷して出版できる状態にあるのです。すごく早ければ来月、遅くても再来月には出せるのではないでしょうか?」
とのことだ。
つまり今は編集者さんからもらった指摘箇所を直している段階なのだ。
忙しい毎日だがそれが心地いい。
今日は日曜日で午前中は暇なので執筆作業をしている。
多分今日で完成するだろうからそのまま行けば来月には本が出版できるだろう。
父さんに新調してもらったパソコンを前にキーボードを打つ。
するとスマホが震えて電話がかかってきた。
「柊優だ」
僕は通話ボタンをタップして電話に出る。
『もしもし?どうかした?』
『昨日は試合見にきてくれてありがとなー!』
電話口から元気のいい声が聞こえる。
……ん?昨日試合なんて見に行ったっけ?確か昨日は一日中執筆作業を……
昨日試合に応援に行った記憶がなかったため少し考え込む。
『あ……』
するとふと脳内にある会話が蘇ってきた。
《明日試合応援来てくれよなー!ん?裕涼聞いてる?》
《おー、マカセロー》
やばい、金曜日ぼーっとしすぎて適当に受け答えしてた…
どうしよどうしよ!!
『あっはは、本当は来てないこと知ってるよ』
『え、あ…』
『金曜日なんかうわのそらって上の空って感じだったもんな』
『うん…ごめん』
柊優に見えてるはずもないのに頭を下げて謝る。
『ま、準決勝勝ったから次決勝だから、次こそはこいよ?』
『うん、てか次は平日だし全校応援じゃね』
『たしかに、忘れてた』
『忘れんなよ』
軽口めいた口調で言うと電話の向こうでははっ、と柊優が笑った。
『甲子園いけっかなぁ…?』
電話口でボソリと柊優が呟く。
『大丈夫だよ、だってあれだろ?うちの高校決勝行ったの初めてなんだろ?この勢いで次も勝てるって』
『そっか、そうだよな!』
『うん』
『相手に
『関係ないって、気持ちだよ気持ち』
『だよな!じゃあ俺は明後日の決勝に備えて裕涼のとこの夏祭り行くわ』
『くんなくんな、練習しろ』
『あはは、まあ言われなくてもこれから練習なんですけどね』
『そっか、頑張れよ』
『おー!裕涼も色々頑張れよー!』
お互いエールを送り合ったところで通話を切った。
今は1時前……、そろそろ行くか。
座りっぱなしですっかり重くなった腰を上げて
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