第14話「ハッピーサプライズ」
「裕涼、最近おじいちゃんのとこ行ってないらしいじゃないの」
天音とのデート(?)を終えて家に帰るなり母親からそんなことを言われた。
「いや、それはその……」
「言い訳が聞きたいわけじゃない!!」
すると母親は急に大きな声を出して叫んだ。
「裕涼がおじいちゃんの跡を継がなかったらどうするのよっ!!このまま更科家の歴史は潰れていってしまえばいい、そんなこと考えんじゃないでしょうね!!」
この母親は僕がじいちゃんのところに行かないといつもそうだ。
こうやって責任だけを
挙げ句の果てにその責任に押しつぶされて逃げてしまうと見向きもしない。
実際みあがそうだ。
みあもじいちゃんの元で技術を学べと言われていたがそんな母親からの重圧に耐えきれなくなって母親の元から離れていった。
みあが仕事が休みで帰ってくる時は絶対にあの母親は家にはいない。
だからこそ僕が守ってやらなければいけない。
重圧に苦しめられ、それに耐えきれなくなって母親の元を離れてもなお心に傷を負い続けている。
ただでさえ仕事で忙しい中、母親がサポートしてやらなくてどうするんだと。みあはまだ中学生だっていうのに。
「そんなつもりはないよ、ただちょっと用事があって」
「用事って何よ!言ってみなさい、どうせ
「ごめん、今度からはちゃんと行くからさ」
この場は素直に謝っておけば収まる、そう感じた僕は頭を下げた。
正直こんな母親に頭を下げるのも癪だけどこれは僕だけのためじゃない。
みあのためにも、僕が我慢しなければいけない事だってあるのだ。
みあのため、みあのため、そう心に言い聞かせてその場を耐え凌ぐ。
「分かればいいのよ、次は無いからね」
すると母親はそれだけ言い残して去っていった。
いいさ、僕が我慢すれば済む話。
僕が我慢すればみあにも、じいちゃんにも、あの母親にも迷惑がかからない。
僕が我慢する"べき"なんだ。
ただおとなしくあの母親の操り人形になる"べき"なんだ。
そう、心に言い聞かせて。
僕は下唇を噛み締めて自室に入る。
どうせ僕はあの母親がいなきゃ生活すらもできないんだ。
だから、僕が大人しくあの母親の
そしてベットに寝転がり、腕で目を隠す。
目を閉じた先には、柊優、みあ、そして天音がいた。
天音のことを考え少し落ち着いてから僕は眠りに入った。
♢♢♢
ピロン、ピロン、ピロン、ピロン!
そんなスタ連並みのスピードで届く通知に目を覚ました。
「誰だよこんな朝から……」
重たい目をこすりながら通知画面を確認すると、そこには驚くほどの量のweb小説サイトからの通知が来ていた。
「え……?」
するとロインの通知も一通届いた。
「グッドモーニングお兄ちゃん!!今日はお兄ちゃんの誕生日ということでハッピーサプライズをしてみたよー!!喜んでくれるかなぁ〜?じゃ、これから仕事だからまた今度ー!!」
み…あ?てことはこの通知の量の原因も……
僕はサイトの通知の内容を確認した。
それはコメントもあれば評価ポイントもあり、とにかく僕の描いている作品の評価が上がっていた。
簡単に言えば書籍化レベルで伸びていた。
「あ、え……」
起きたてほやほやの頭では状況を理解できずにまたベットに倒れ込んだ。
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