第9話「あのイケメン」
2人でテレビを見てくつろいでいるとスマホが振動した。
なんだろうと思いつつスマホを開くとそこに来ていた通知はあまみこと天音からだった。
『ねぇー!!どうしよ!気になってる人家に連れて来ちゃったよー!どうすればいいかな?どうすればいいのー!?』
なんとも答えづらい質問だなぁ…
だってこれ質問に答えたら自分が言ったことそのまましてくる可能性あるんでしょ?
ちょっと慎重に考えなきゃな…
適当にあしらっても申し訳ないしかと言ってガンガン攻めたらなんてアドバイスをしたら僕の心臓が多分持たない。
うーん、どうすればいいんだろうなぁ?
『んー、まず誕生日とか聞いてみたら?』
検討を重ねた結果こんな安直なメッセージになってしまったがこれくらいが丁度いいだろう。
『分かった!頑張ってみる』
と、返信が来たと同時に天音が話しかけてきた。
「ねぇー、裕涼って誕生日いつなの?」
「ん?6月13日だけど、どうして?」
至って本当に疑問を持っているかのように尋ねる。
「やー、なんか友達が今日誕生日だったからさ?ふと気になって」
「ふーん?そういう天音は?」
「来週の水曜」
「え、それ夏祭りある日じゃん」
天音が言ったその日は僕のじいちゃんが作った花火が空高く打ち上がる夏祭りのある日だった。
「たしかに、裕涼は誰かと行くか決まってるの?」
「いーや、僕なんかが誰かと行けるはずないよ」
髪を書きあげながら答えた。
「じゃあ天音と行かない?」
天音はにしし、と笑いながら言う。
「!?いやー…行きたいって気持ちは山々なんだけど天音と一緒に行くのは僕じゃ釣り合わないと思うというかなんというか……」
つまりは天音の隣に立つのは僕じゃ物足りないということを言っているのだ。
実際こんなにも可愛い天音の隣に立つには僕は地味すぎる。
「ふふん!ちょっと待ってて!」
天音はリビングから飛び出し櫛や髪を固める物などを持ってきた。
「えっと、天音?」
「ちょいとおとなしくしててねー」
そう言うと天音は手早く僕の髪をいじり始めた。
そして数分後、よし出来たっ!と言って満足気な顔を浮かべる天音の前には先程とは別人の裕涼が居た。
洗面所の鏡に映る裕涼は前髪をわけられ、それ以外のところも綺麗に整えられており髪を切ってもいないのに先程までより清潔感が増していた。
「これなら大丈夫でしょ?かっこいいし」
だからお願い、と言って頼んでくる天音に断りきれなかった僕はそのまま了承してしまった。
とりあえず今日のところは遅くなったら良くないから程々に雑談した後僕は家を後にした。
玄関先まで天音に送って貰って、僕は帰路についた。
♢♢♢
「あ!天音だ!隣にいるのは……誰?あのイケメン」
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