第5話「お兄ちゃんの膝枕」
「お兄ちゃん膝枕して〜」
自室で小説を更新しようと思いスマホと向かい合っていたがみあが僕のベットに寝っ転がってただを捏ねていた。
「もうちょっとだけ待ってね」
「えー、今がいいー!」
先程まで僕を叱っていた時の姿勢とは打って変わって今は甘えモードに入っている。
僕は手早く更新させるとベットに寝っ転がってるみあの元へと急いだ。
「ん〜、やっぱお兄ちゃんの膝枕は世界一だー!」
ベットに座って膝を差し出してあげるとすかさず膝の上に頭を乗っけた。
「膝枕に世界一とかあるのか…?」
「あるの!お兄ちゃんはなんでもみあの世界一なの!」
そんなもんなのかなぁ、と少し朱く染めた頬を掻く。
僕の膝の上で嬉しそうにしているみあの頭を優しく撫でてやる。
するとみあは今日一番の笑顔を浮かべて喜んだ。
「えへへ、やっぱお兄ちゃん大好き!!」
中学3年生にもなって兄離れしないみあを少し心配に思う気持ちもあるが、もうしばらくこのままでもいいだろうと思ってしまう僕も大概だ。
妹がアイドルとして活動して家にいないことが多くなって離れることが多いけれど、僕が妹に抱く気持ちは色褪せない。
大切で大好きな妹が周りのファンに笑顔を振り撒く姿を見て何も思わないわけではない。
でもこうやってファンには見せないような特別な表情を僕に見せてくれるたびにそんなことなどどうでも良くなってくる。
「あ!そうだ、インタス更新しよ!」
とあるSNSアプリの名前を口にしたみあはスマホを取り出して何やらカメラを開いた。
内カメにして僕の顔が映らない程度の画角で写真を撮り、それをインタスに投稿したようだった。
それと同時にポケットに入れてあった僕のスマホもブブっと震えた。
「これでよしっと!」
「お兄ちゃんの膝枕の写真あげてそんな需要あるか?ファンはもっとこうみあ単体のを望んでたりするんじゃないか?」
「んーん、意外とお兄ちゃんシリーズ人気なんだよ?『絶対イケメン!』なんて言われちゃったりして」
それは初耳だ。恥ずかしすぎる。
「実物はイケメンじゃなくて申し訳ない」
「いんや、お兄ちゃん髪あげたらめっちゃイケメンなのに。しかも優しい頭いい運動神経いいの三拍子揃ってる」
「毎回言ってるけどみあはお兄ちゃんのこと買い被りすぎだよ」
「そんなことないもん!」
するとみあは一度膝枕の状態を解いて抱きついてきた。
「お兄ちゃん補充〜!」
最近は一週間とか家にいないこともあり誰か人に甘える機会とかが無いのだろう。
だからまた仕事を頑張れるように僕がしっかりと甘やかさなくちゃいけない。
甘やかさなくちゃいけないと言いつつ僕も僕で楽しんでやっているのだからwin-winの関係だけどね。
ブブっ
突然僕のポケットで通知が鳴った。
僕はスマホを取り出して通知を確認することにした。
そこに表示されていたのはSNSアプリ、ツイットーのDMの通知だった。
送ってきた人は「あまみ」、小説サイトで言う@7seaさんだ。
『今日も更新ありがとー!面白かったよ!』
小説サイト上では周りに気を配って敬語を使っているが普段は仲がいいネッ友という関係性だ。
だからDM上ではこうやってラフな感じで会話をしてるのだ。
「誰とチャットしてるの?女の人?」
するとみあが尋ねてきた。
「んーと、読者さんかな」
「ふーん?ならいいんだけど」
正直正確な性別はわからないがおそらく女性だということと同じ高校生だということは見当はついている。
ま、男性だろうが女性だろうが嬉しいんだけれどね。
『どしたの?こっちで感想言うなんて珍しいじゃん』
僕は気になっていた問いを投げかけた。
『んーとね、さらゆーに折り合って相談というか聞いてほしいことがあって……』
『あーね、ぜひ聞きたいところだけど今は妹と遊んでるから後ででもいい?』
『うん!聞いてくれるだけでも嬉しい!ありがと』
そう言って僕たちは会話を区切った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
相談ねぇ……?😏
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