第3話 面接

「やあやあ、よく来てくれたね。電話で話をした扇木だよ。ささ、こちらに座って座って」


 出迎えてくれたのは白衣を纏った二十代半ばか後半くらいの綺麗な女性だった。


 あれ? ここ病院? って思ったけど、普通にマンションの一室に通されたことで違うとわかる。パーテーションで仕切られた応接室に案内されソファに座るように促された。


「いやーやっと君が応募してくれて良かったよ。広告出して三ヶ月も経っちゃったから、もう間に合わないとヒヤヒヤしたよ」


 両手に紙コップを持ってソファの前にあるテーブルに置き、俺と対面のソファに座った扇木さんは尚も話続ける。


「しかも今回の依頼にぴったりガッチリなんだよ君は!! あーなんて私は幸運なんだろう、こんな出会いをもたらしてくれたベルベット様に感謝しなきゃ! あ、ところで砂糖何個欲しい? ひとつ? ふたつ? 私はねぇ、五ついれるのよ!」


 ……直感じゃなくてもわかる。この扇木さんはヤバい。


 コーヒーに五つも砂糖入れるところにヤバさを感じているわけじゃない。誰だよ、ベルベットって。どこかヤバい宗教の人かもしれない。勧誘される前に適当な理由をつけて帰ろう。


 しかしあの求人広告、三ヶ月前のだったんだな、やらかした結果がこれか。


「ん? どうしたのかしら? 美人の私に恥ずかしがったのかしら? そんな君に砂糖ひとつ入れてあげよう」


 紙コップに淹れられたコーヒーに角砂糖を勝手に入れる扇木さん。とりあえずありがとうございます。ってお礼を言い、今どき角砂糖とは珍しいなぁと考えつつもどのタイミングで帰ろうか思案する。


「じゃあ、今回のミッション、じゃなかったアルバイトの詳細を説明するわ。そうねぇ……真剣に話を聞いてほしいからまずは報酬、じゃなくて成果、でもなくてお給料の話をするわ。まず最低保証で月☓△万円、その他に追加任務、じゃなくて追加の作業をすることによって更に増額、ついでに能力査定もついているからかなり稼げるわよ」


 ………………まじ?


 俺の目が変わったことに気づいた扇木さんが綺麗な足を組みながらニヤけた顔になった。


「ふふふ、かなりオイシイでしょ? それだけ君に期待してる証拠よ」


 数分前にあったばかりの俺に期待しているとか言われても全く信用できないし胡散臭さが増した。


 でも月にそれだけの大金が入ってきたら生活に困らなくなるのは確実だ。……帰るのは仕事内容を聞いてからでも遅くはない、か。


「と、とりあえずバイトの内容を教えてくれますか?」


「ええ、そうね。では説明するわね」



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読んで頂き感謝いたします。

ベルベット様はベルベット様です!

次話も読んでもらえたら嬉しいです!!

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