第10話

 リナーとロイが付き合ってから、早くも3ヶ月が経過した。

 照れ屋と恥ずかしがり屋の組み合わせのため、ちょっとすれ違いは相変わらず多いけど、なんだかんだうまくやっているようだ。


 私はというと、すれ違うたびにリナーからもロイからも相談されるので、おかげさまで退屈のない日々を送っている。

 ただ、最近はようやくお互い言いたいことを私なしでも言えるようになってきたため、相談される頻度が減ってきたのよね。

 私が仲介すればどんどん恋人関係が良くなっていくので、二人の恋愛レベルもどんどん上がっていくのだ。


 それは素直に喜ばしいことなんだけど、少し寂しくもある……。

 はあ、誰か早く相談しにきてくれないかしら……。


「セレスティーナ様、ちょっと相談なのですが……」

「ん? またロイと何かあったの? 最近はすれ違うことも減ってきたと思ったけれど……」


 いつものように食事をしながらリナーと話していたら、真剣な面持ちで私を見てきたリナー。

 ロイのことを話す時はいつも愚痴のように話し始めるから、こんな風に改まって相談するのは珍しいわね。

 よっぽど深刻なことなのかしら?


「いえ、ロイとの関係性はおかげさまで順調です! 私のことではなくて、以前の同僚が恋人のことで悩んでいるらしくて……よろしかったらセレスティーナ様に相談できたらなと……」

「あらまあ!」


 あ、しまった。

 ついテンション高く返してしまった。

 リナーの友達が悩んでいるというのに……。


 でも新たな相談者の出現はとても喜ばしい。

 おかげでまたしばらくは退屈しなさそうね!


「勿論大歓迎よ。貴女の以前の同僚って……」

「ありがとうございます! あ、私ここに配属される前は皇后陛下の元にいたんです。といっても下っ端でしたけど……」

「そうなのね。じゃあその友達は今も皇后陛下のメイドということかしら?」

「はい! じゃあ早速明日連れてきますね!」


 嬉しそうに笑ったリナーを見て私も笑顔になる。

 さて、新たな恋に悩める乙女は何に悩んでいるのかしら?

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