第99話 クリスマスのサプライズ

時は流れてクリスマスの日.

いつもの公園で待ち合わせていた.

「雀君,早いわね.」

そう言っている鈴華も時間より早く着いていた.

鈴華は特別オシャレで,ドキドキした.


「ねえ,鈴華,今日さ結構いろいろ考えてたんですよ.計画を」


「当たり前よ,私を楽しませなさい.」


「まあ,そのつもりだったんですけど.その,サプライズとかやっぱり出来そうに無いので」


「何かしら?」


「絶対にいろいろすっ飛ばしてる事は知ってますし,自分でもこんな事してるのに驚いてるんですけど.」


「さっさと言いなさい.」

鈴華は少し不機嫌そうにこちらを睨んだ.ああ,まあこうなったら一かバチかだ.


「クリスマスプレゼントです.婚約しませんか?」

僕は良く分からないが片膝を着いて,ドラマの真似をした.

指輪を買ってしまっていた.親に借金するとは思わなかった.


「……」

鈴華は無言だった.


「あっ」

まあこうなるよね.はぁ,何でこんな事をしてしまったのだろうか.高校生だよ僕.


「雀君.私はビビってるのよ.感動してるの.」

そう言うと鈴華は鞄から見覚えがある指輪ケースを出した.あれ?自分で買ったの?


「私の君へのプレゼントよ.」


「えっ?」

衝撃が全てを吹き飛ばした.


とりあえず指輪を渡しあって,それから着けた.

「それと雀君,二言は無いわよね.」


「……ええ」


「言っておきますよ,雀君.私は我儘で,めんどくさいわよ.後,頑張って感情を読み取りなさいよ.」


「はい.」


「婚約しましょう.後,結婚は大学に入学してすぐにしましょう.」


「えっ」


「雀君,私はもう,君の分も含めた人生プランを決めてたのよ.婚約者にしてくださいって言われるのは予定外だったけど.」


「……」


「これが人生計画よ.質問はあるかしら.」

PDFが送られて来た.


「……重い」


「私の体重は軽いわよ.」


「……そう言う事じゃなくて」


「でも,重い私が好きでしょ,雀君.」


「まあ,好きですけど.」


「えっ,あっ,雀君.急に素直に返信しないで.その恥ずかしいから」

華は急に顔を真っ赤にした.分からない.もう可愛いから何でも良いか.うん,もう負けでも何でも良いか.


「この後どうしますか?鈴華」

何というか僕のプランはもう全部意味無くなった気がする.


「雀君,私の家に挨拶に来ますか?」


「えっ,今からですか?心の準備が,挨拶するなら,僕の家から.」

流石に娘さんを僕に下さいとか言う心構えは出来てない.


「それは必要無いわよ.」


「うん?」


「息子さんを私に下さいってもう既に言ってあるは.後ついでに姉ポジションの幼馴染と小姑ポジションのなる幼馴染にも言ってるわよ.」

鈴華さんはそう言ってニヤリと笑った.


「……ほうれん草」


「さあ行きましょう.雀君.」


「分かりました.行きますよ.」


ゆっくりと歩き始めた鈴華の隣を歩き始めた.何となく右手を伸ばしてみれば,気がついたら手を繋いでいた.

数歩して鈴華は立ち止まりこちらの顔をジッと見た.

「あっ,雀君.安心してください.私が大学に入る頃には背が伸びて,スタイルが良くなっているので,ロリコンとは呼ばせないので」

そう言って笑ったので


「まあ期待しないで牛乳を毎日飲ませますよ.」

そう適当に笑い返した.まあたまには,他人の告白現場を目撃するものだな,そんな事を思いながら鈴華の家に向かった.


一旦,鈴華さんの父親の事は忘れようと思う.

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