デート
第95話 デート1 カラオケ
あの事件で委員長は,まあうん…….僕も学校に行くことが出来るようになり,それなりに平穏を取り戻した.もちろん,過去には戻れないので.まあとりあえず,今日は鈴華とのデートの日だった.
鈴華は,サプライズで大層な計画があるような素振りだったので,遠出を覚悟していたが
「初手,カラオケ何ですね,鈴華」
近くのカラオケの部屋にいた.
「悪いかしら?」
鈴華は,こちらを無表情でじっと,こちらを見てきた.別に悪くはないけど.
「いや,だって,もっと遠くに行くものかと.」
「大事なのは距離じゃないわ.それに私も考えたのよ.遊園地とかも,雀君」
ああ,そんな感じの話を前にした気がする,遠出するには準備がいるみたいな
「考えたんですね.」
「遊園とか楽しいと思うわ,雀君となら.でも,もう寒いは.」
「確かに,寒いですね.」
「だから,まずはカラオケよ.」
「次は,何ですか?鈴華」
「次は,買い物に行くわ.」
「本屋ですか?」
鈴華の買い物は9割本屋で,1割食べ物ってイメージだ.
「違うわよ.」
鈴華は,小さく笑って首を横に振っていた.
「違うんですか?……あっ」
前に話した内容を思い出した.
「服とかを買いに行くわ.」
鈴華は無表情でこっちを見た.
「却下で」
反射でそう言っていた.服とかそういうセンスをこっちに求めてくる場所には行きたくない.
「決定事項よ.大丈夫よ.ちゃんとどっちが似合うか聞くわよ.」
鈴華は,こっちを見てニヤニヤしていた.楽しそうで悪い笑顔だった.本当に性格悪いな.
「それが,嫌なんですけどね.」
「でも,真面目に聞きたいのよ.雀くんの趣味とか分からないわ.それによって,私,服決めるわよ.」
鈴華は,デフォルトの無表情に戻りこっちの目をじっと見てきた.なるほど,僕が好きな服を着てくれるのか.いや,鈴華が着るなら何でも可愛いと思うけどな…
「……いや,大丈夫です.好きなものを来てください.」
「私が着たい服は,君が好きな服よ.だから,教えなさい.」
鈴華は,そう言って僕を小突いた.
「……いや,えっと」
どうしようか.何着ても可愛いって言うべきなのだろうか?でも,恥ずかしいしな.
鈴華は,僕の答えない様子を見て少し睨むような表情になった.それから,何かに気が付いたのか小さく笑って
「答えにくいのかしら……そうね.でも,流石に,私も小学生の制服は嫌よ.」
「違いますから.ロリコンじゃないんですよ.はぁ」
そんな趣味は無いのだ.いや,鈴華の……忘れろ,忘れろ.
「じゃあ,なんなのかしら,雀君」
鈴華は,無表情でジッとこっちを見た.ああ,これ答えるまで先に進まない.
仕方ないので,思っている理由を言葉にすることにした.
「いや,えっと……別に鈴華は,何を着ても,その.えっと,可愛いと思いますよ.それに,僕が好きなのは,鈴華なので,ロリコンでないので.」
いつもの話す速度の2倍ぐらいの速さで,そう言って鈴華から目を逸らした.恥ずかしいな.
鈴華は,無表情だった.
「そう,ありがとう.でも,そう言うのは今良いのよ.どんな服が好きなのかしら」
ああ,そう言うことじゃないので,なるほど,どんな服が好きか具体的に言わないといけないんですね.
「……カラオケ来たので歌いましょ.鈴華」
話をとりあえず逸らそう.うん,無理だ.
「話を逸らしたわね.まあ,いいわ.後で聞くから.私が先に歌うは.練習の成果を見せるわ.首を洗って待っておきなさい.」
鈴華は,とりあえず一旦満足したのか.歌うために,カラオケの端末を取りに動き始めた.多分,また来るから.とりあえず,どんな服が良いか.考えておく必要があるな.それにしても,
「そんな,気合入れなくてもいいと思うけどな.」
鈴華は,何故かやる気満々だった.
「うるさいわね.勝負よ.雀.最高得点で勝負するわよ.負けたほうが頼みを聞くで良いわよね,決定ね.」
鈴華は,そう言って僕を指さした.
「えっ……まあ,良いですけど」
どうせ,決定事項なのでとりあえず逆らわない事にした.
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