来訪者

第91話 来訪者1

あれから,1週間経過した.学校にはなんか登校出来なかった.

毎日,鈴華がやって来た.それで,僕の近くで無言で本を読んだり勉強したりして,「大丈夫よ」そう言って帰っていった.それと,口を封じた事については無かったことのような扱いになっていた.何だったのだろうか?あのイケメンムーブは.それに,いつの間にか,僕の家の合鍵持ってたし.渡した人物は,何となく察した.


「雀くん.ごめんなさい.」

その日は,部屋にやって来るなり鈴華が謝罪してきた.声にかなり抑揚があるので,本気の謝罪であることが分かった.


「……何ですか?鈴華」

僕は前のめりになり,少し焦り気味に声を発した.何かまたあったのかも知れない.


「今日,人が沢山来てるわ.」

どうやら鈴華以外の人も来ているらしい.はぁ,びっくりした.ただ,鈴華が僕に気を使っただけか.良かった.


「……えっと.大丈夫ですよ.」

まあ,多分大丈夫だ.あの事件の後,鈴華と母親以外と喋っていないが,多分大丈夫だ.


「分かってるの思うけど,無理はダメよ.分けて連れてくるから.分かったかしら?」

鈴華は優しく笑ってそう言った.


「……何人来てるんですか?」

想定したの何かが違った.分けて連れてくるほど来てるのは想定外だ.


「私を含めて8人よ.仕事を押し付けてるから六角形先輩は,来てないわよ.」

ああ,そうか,鈴華は図書委員の仕事をせずに放課後僕の家に来たりしてたのか.その仕事を六角先輩が肩代わりしてたのか.申し訳ないな.


「そうですか.今度お礼をしないとですね.」

鈴華と先輩達にもお礼をしないと行けない何かを考えておこう.


「まあ,気にしてないと思うわ.あっちは,あっちで.いや今はいいわ.とりあえず,連れてくるけど.何人ぐらい連れてくれば良いかしら.」

鈴華は,いつものような無表情で小さく首を傾げた.


「人数よりも順番を考えてくれれば.いろいろ任せて申し訳ないです.鈴華」

まあ,誰が来てるか知らないけど,順番が大事だ.こう言うのは,徐々に進んでいくのが大事だ.


「良いわよ.任せなさい.私は,雀君に我儘になってもらうって決めてるのだから.」

鈴華は,無表情で謎に決めポーズをしていた.それは,いつもの鈴華だった.


「えっと,ありがとうございます.」


「あと,今度,カラオケ行ったら私が歌ってあげるわ.」

鈴華は,そうボソッと呟いた.


「……えっ」

ここ最近で一番驚いた.いや,まあ,えっと嬉しいで良いのだろうか?


「言っておくけど,練習はしたけど下手だから,知らないわよ.」

鈴華は,謎に顔を赤くして少し顔を膨らませてこっちを見た.


「大丈夫ですよ.」


「そう,まあ連れてくるわ.」

無表情に戻った鈴華は,そう言って優しく笑った.


「ありがとう,鈴華」


「私がしたいから助けただけよ.良いでしょ.」

鈴華は,渾身の笑顔でそう言うと部屋を出た.


「そうですね.鈴華.」

本当に,僕は幸運だった.まあ,今日来た人話して明日から学校に頑張っていこうと思う.







あとがき

短めですいません.

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