決着

第87話 監禁1

終わった.どっか知らない場所に連れてこられた.初めは,僕にカッターを突き付けていたが,隙を狙って走ったが,彼女が自分の首にあて始めたせいで逃げれなくなった.ヤバい人でも愛甲さんが,目の前で死ぬのは普通に止めてしまう.自分のせいで,自分と関係あることで人が死ぬのは耐えれない.


携帯電話は奪い取られて.操作されてから,水に沈められた.あと多分,なんな工作された.それから,両手に手錠をつけられて縛り付けられた.

……まずい,まずい,まずい.


でも,明らかにここで騒いだら終わる.僕は比較的面白いのは好きだ.良く分からない状況も,変わった人も好きだ.だから,鈴華の話に最初に乗ったし,鈴華と付き合うと決めたのもそう言う部分が大きい.でもこういう状況に限度があるし,死にたくないし.意味も分からない.急すぎると思う.


「カラオケ好きでしょ.今度二人で行きましょうね.雀君」

彼女はニコニコ笑っていた.恐怖の対象でしかないが,意味が分からないことがある.何故今なんだ,手紙の人だとしたら,あんなに回りくどいことしたのに.


「……いや,」


「好きでしょ.だって,あの女と一緒に行ってたよね.私見てたよ.ねえ,ねえ」

彼女は声を荒げて地団駄を踏み,こちらを睨みつけた.


「……まあ,その嫌いでは無いです.」


「そうでしょ.なんで笑わないの?」


「……はい.見てたって.」

なんとか笑顔を作った.


「私は君のこと,全部知ってるんだよ.」


「えっと.」


「君が前は周りに気を使って,みんなに優しくしてたことを,本当は私にだけ優しくしようとしてたのにね.でも,あの女の出現で変わった.君があの女に騙されてることも知ってるよ.」


あの女は多分鈴華の事だろう.

「……えっと」


「あのね,あのね,私はさ,我慢してたの.待ってたの.なのに何?なんで,あの女と付き合うの?なんでなんで?よりによってあの女.」


「……なんでそんなに」

声を上げる彼女を見て疑問に思った.


「嫌いなのよ.ちょっと顔が良いからって,ちょっと可愛らしいからって.ちやほやされて.だから罰を与えたのに.」


「……罰?」


「そうなの?聞いてくれる.雀」

愛甲さんは,笑顔でこっちを見た.


「中学時代,運命の王子の君とね.会う前のころかなぁ?私ウザいからアイツに天罰を与えることにしたの.」


「……」

確か,前に鈴華が言っていた.というか逆恨みさんの話だ.えっと,最初に実行犯をさせられていた人関連の話だろう.


「ちょうどムカついていた.アホカップルがいたから,それを使ってね.」

……悪の元凶か.


「えっと,どうして.」


「だって,ウザいから.その後でね,私は君に助けられたんだよ.カッコよかったな.」


「………」

多分,この人に理由とか整合性とかを求めるのが間違っているのだろう,まともではない.おふざけや冗談だどではない邪悪である.


「ねえ,雀くん.楽しく喋りましょうよ.」


「……えっと,どうして急に?こんな事を.」


「だから,君があの女に騙されてるから.」


「えっと,そう言うことじゃなくて,もっとチャンスが」

そう僕が言ったときに彼女は再び地団駄を踏み始めた.僕に出来ることは時間稼ぎをしながら死なないことだ.まあ助けてくれるのを信じるしかないしな,この状況だと動けないし.


「それは,それはあの女が『そう言うことよ,あきらめなさい.』なんてふざけたこと言うから.そもそも私と結ばれるはずなのよ.雀は」

……なるほど,はぁ.なんで僕と委員長が結ばれることが正しい前提なのだろうか?それは一人で決めるものではないでしょ.まあ,これを言って刺されたらまずいので言うのは我慢しよう.


「その,愛甲さ……梨花.これからどうするつもりなの?」

とりあえず,今できることを精一杯することにした.

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