3回目出会い
アルバム
第82話 想い出のアルバム1(鈴華視点)
「雀はいないと思うよ.鈴華」
文化祭の次の日,雀の家に着いて,インターフォンをとりあえず鳴らしてみたら,予想外の方から声が聞こえた.茉奈ちゃんだ.
「どうしたのかしら?」
大体いるのに.
「また,突然来たの?鈴華」
あっ,また連絡を忘れていた.
「ドッキリよ.あっ連絡が入っていたわ.」
連絡をしようとしてスマホを見ると
『今日は誘拐されたので家には居ません.』
そんな雀くんのメッセージが来ていた.多分,恐らく,友人の人に連れていかれたのだろう.
メッセージの出た私のスマホを覗き込みながら
「うわ,酷い説明.本当に.私が説明するね.昨日ね,文化祭の後だよ.人が訪ねてきたんだよ.」
そう言って,茉奈ちゃんは,お姉ちゃんムーブをしていた.私の姉よりも,私が風香にするよりも,雀君に対して姉をしていた.
「誰が来たのかしら.」
「うん,えっと,写真部の枢木 蓮っていう人が.」
写真部の幽霊部員は危険人物である.というか少し思い込みが苦手だ.
「大丈夫だったのかしら.」
雀くんを助けないと.
「ああ,大丈夫だから,拳をグーにしなくても大丈夫だから,謝りに来たのその人は.」
謝りに?そういう事が出来る人なんだ.
「何て言ってたのかしら?」
「私もよく知らないけど.『間違っていました,すいません.弟子にしてください』ってそんなことを言ってたかな?」
「何が起きてるのかしら.」
意味が分からなかった.可哀そうに,雀くん,また変な人に好かれている.
「なんかあの,強制公開告白を見てどうとか言ってたけど.よくそこらへんは知らないな,ごめんね.
茉奈ちゃんは,そう言って笑っていたが,可笑しいことを言っていた.
「強制じゃないわ.」
お膳立てよ.強制じゃなくてお膳立て.
「……いや,あれは強制だよ.めんどくさいよね,鈴華も.まあ仲は良さそうだから良いけどさ.」
茉奈ちゃんは,そう呆れているような表情をしていた.意味が分からない.
「……今はそんなことはどうでも良いのよ.それでどうして今日いないのかしら?」
「そうですね,まあ,いろいろは説明面倒だけど.その話を見ていた,うちの彼氏が三人で男子会をするぞって言い始めて.」
なるほど,最初の私の予想は当たってた.
「それで,いないのかしら?前の日に連絡くれれば良いのに.」
そしたら,家で読書か勉強をしていた.
「……良く言えますね.いや,雀は最初行く気がなかったけど.無理やり連れていかれたんだよ.」
うん?何を言っているのかしら?雀君は,頼んだら,結構何でもしてくれる甘々人間なはずなのに.何故かしら.
「そう?意外に抵抗したのね.雀君」
「いや,雀は抵抗するでしょ?」
うん?良く分からなかった.
「そうかしら?」
雀君の話をしているのだろうか?雀くんは,断らないでしょ.こういう時に,私の……強制告白もしてくれるのだから.
「ああ,なるほど.仲良いですね.二人とも.」
何がかしら?
「仲は良いわよ.」
「……雀も大変だね.私の想定と逆だったとは.それで,鈴華は今日どうする?」
何か凄く貶された気もするが,
「……暇ですか?」
折角来たのだ,対抗して女子会をしよう.
「ほどほどに暇だよ.でも一緒に勉強は嫌だからね.」
良かった暇だった.
「いや,でも,勉強しないといけないわよ.」
「うるさい,真面目だな.……カラオケ行った後に勉強会とかしたって話,私はドン引きしてるからね.」
ドン引き?よく分からないわね.でも,カラオケ,練習しないとだわ.
「そうかしら.」
「私がドン引きしてるから,そうなの.はぁ,とりあえず,アルバム見る?中学生のとか見たことないでしょ.」
小学校や子供の小さいころの雀君を見ていた.昔は私と同じぐらいの身長なのに,何なのかしら,本当に.でも中学生か.顔同じかも知れないけど,まあ見ておきたいわね.
「見たこと無いわ,見るわ.」
「分かった.でも,その前にケーキを買いに行きましょ.」
茉奈ちゃんはそう言ってこっちを見て目をキラキラさせていた.私も,このぐらい表情を変えれて,スタイルが良ければ雀君にさらに好かれるのかしら?でも表情を変えたら弱点にもなるわよね.
「でも,空いてないわよ.時間的に」
「歩いてる間に,店も開くでしょ.行きましょう.エイエイ」
「分かったわ.」
茉奈ちゃんはこっちを見てため息をついた.
「エイエイ」
「おーー」
これ必要なのかしら?
「行きましょう.」
良くわからないが,すごく楽しそうだった.
その前に
『私は女子会するわ.気を付けて』
そう雀君に返信しておいた.
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