第66話 後片付け

結局、枢木さんの他に写真部の何か距離が滅茶苦茶近くなった二人と、いつもの六角形先輩と、あともう一人の先輩がやって来た。それで、夕方辺りまで結局人生ゲームとかのボードゲームをしていた。やっぱり始めるとこの手のゲームはかなり楽しい。まあ、部活動関係は何もしないまま、鈴華さん以外は家に帰っていった。

鈴華さんは、家に残り片づけを手伝ってくれていた。

「結局、人生ゲームをしただけでしたね。鈴華さん」

小さく欠伸をしながら、そう言うと


「そうね、文化祭のことは何も決まらなかったわ。」

鈴華さんは、そう言ってノビをしながら笑っていた。……僕の前の方がさっきより表情豊かだと思う。


「まあ、こんな気はしてましたけどね。人生ゲームとかの魔力は凄いので」

それに、文化祭までは、なんやかんや時間がある。部活動の方は、最悪休憩スペースで問題ないし。


「まあ、良いのよ。本来の目的は果たせたから。」

鈴華さんは、無表情でそう言っていた。


本来の目的?頭に?が浮かびまくった。やっぱり、鈴華さんは、ホウレンソウが足りてないと思う。

「うん?」


「今日来た人は、多分手紙の犯人ではないことを確信したわ。観察してたのよ。」

鈴華さんは、ドヤ顔だった。まあ、確かに、犯人だったらもっと不審な行動取るかもだし。


「……そのために呼んだんですか?」


「ええ、効率的でしょ。それに、さっさと手紙の件を片付けたいじゃない。」

それは、本当にそう。鈴華さんと付き合ってる今。あれが無くても、繋がりがあるし、さっさと犯人を見つけて、スッキリしたい。


「そうですね。さっさと、犯人を見つけましょう。まあ、それなら次は二人で遊びましょう。鈴華さん」


「そうね。何処か行きたいところが決まったのかしら?」


「まあ……いや、僕が行きたいところですけど。」

鈴華さんと行きたいところと縛っていたから思いつかなかったのだ。自分が行きたい所を考えれば良かったのだ。


「何処かしら?」


「カラオケ。」

カラオケに行きたいと思った。何となくカラオケに行きたいと思った。


「嫌よ。」

鈴華さんは、無表情だった。


「即答、即拒否」

思わず叫んでしまった。


「私、歌うの得意じゃないわ。だから嫌よ。」


「いや、別に僕も得意ではないですけど。楽しいから行くのすよ?」


「嫌よ。恥ずかしいわ。」

鈴華さんは、無表情であった。恥ずかしいのか、絶対にカラオケに行きたいと思った。


「……絶対に行きましょう。カラオケ」


「嫌よ。テストで勝った権限を使って拒否するわ。」


大人気ないと思う。同い年だけど

「……」

とりあえず、無言で鈴華さんをジッと見ることにした。


「何よ、雀くん。その目は」

鈴華さんは、そう言いながら、珍しく視線をそらした。だから


「……」

そらした方向に動き、再びジッと見た。


「分かったわ。でも私歌わないわよ。7時間ぐらい、雀君が歌いなさいよ。」


「死にますけど。」


「応援はするわ。」

鈴華さんは笑っていた。まあ、鈴華さんが歌わないのは、まあいいや。


「それは、どうも。それで、いつ行きます?」


「明日、暇よ私。」

鈴華さんは、無表情でそう言った。これは分かる、僕が暇だったら明日誘えってことだろう。


「そう、じゃあ、明日行きますか?鈴華さん」


「そうね、朝迎えに来るわ。」


「迎えに来るんですか?迎えに行きますよ。」


「良いわよ、カラオケ、雀君の家からのほうが近いから」


「そうですか。じゃあ、それで。ああ、今日夜ご飯って」

少し無駄な譲り合いをしてから、ふと今の現状で聞くべきことを思い出した。


「私が作って、君と食べて帰るわ」

鈴華さんは、そう言ってグッドポーズを無表情でしていた。可愛い。


「作るんですか?」


「ええ、胃袋は握りつぶした方が良いって言うでしょ。」

鈴華さんは、笑いながらそう言っていた。冗談か。


「力入りすぎですし。食べれなくなるので、握る程度でお願いします。」


「分かったわ。それじゃあ、後の片づけは」


「しておきますよ。」

そう僕が答えると鈴華さんは、キッチンに向かった。

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