第65話 誰だよ1

土曜日、人がやって来ることが分かっていたので、早めに起きた。いや、まあ、なるべくドタバタしたくないし、鈴華さんは、早く来るかも知れない。


チャイムが鳴ったので、鈴華さんだと思ってドアを開けたら知らない男子が立っていた。朝からテンションが30ぐらい下がった。

「こんにちわ」


そう、丁寧に言われたがとりあえず、ドアを閉めた。えっと、誰だ。知らない……いや、何処かで見たことがある気がする。……いや、たぶん分かった。六角関係のうちの一人だろう、どうせ、怠いな。そもそも、どうして僕の家が分かってる?


とりあえず、ドアを開けた。

「誰ですか?」

いろいろ考えたがこれが一番だと思った。


「枢木 蓮です。」

名乗られた。そんな名前に覚えはない。クラスメイトではない人は分からない。


「だから、誰ですか?」

知らないよ。名乗られてもって感じである。


「ああ、一応、写真部だから。えっと、聞いてませんか?」

写真部ってあの二人だけじゃなかったのか。じゃあ、六角形のほうじゃない感じか?


「聞いてないです。ホウレンソウは野菜らしいので」

多分言っていないのは、鈴華さんだろう。写真部の犯人コンビが多分、鈴華さんに伝えたが、鈴華さんが僕に言ってないのだろう。まあ、それは、別に良いけど。


「えっ?うん?まあ、写真部なので、一応、今日は来ました。」


ああ、なんか文化際のも考えるって言ってたね。

「えっと、写真部っててっきり二人なのだと。」


「ああ、幽霊部員ですから、二人みたいなものですよ。」

ああ、なんだ、こいつのせいで写真部に三角関数が発生して、なんか起きてまた巻き込まれるのかと思った。


「そうなんですね。百合に挟まる系のクソ人間かと」


「……ええ、雀君、聞いてた感じと違うんですけど。」


だれから、どう聞いたのかは知らないけど、たぶん六角形の方の写真部だろう。

「いや、すいません。これ以上ややこしいことになるのは嫌なので……待ってなんで幽霊部員がここに?」

言葉に出して気が付いた。幽霊部員が、来る意味が分からない。幽霊部員は来ないから幽霊なんだよ。


「それは、」

枢木さんは、そう何かを言おうとしていた。嫌な予感がした。


「何も言わないで帰ってくれませんか?」

思わず、そう言葉にしていた。


「……宇都宮が、困っているなら雀さんに相談すればって」

名字、呼び捨て、宇都宮……ああ六角形だ。そっか、確かに、ああ。はぁあ。


「無理です。僕は、そこまでお人好しじゃないので。」


「実は、幼馴染と仲を」

無視かよ。話進めるなよ。多分、告白ドミノでなんか気まずくなった幼馴染と仲良くしたいとかでしょ。無理でしょ。


「無理だと思います。崩れた人間関係は無理ですよ。帰ってください。」

そう、僕が言うと少し遠くに鈴華さんが見えた。


「おはよう、雀君。そこの人は」

鈴華さんは、そう言って小さく首を傾げていた。


「幽霊部員らしいです。」


「そうなのね。その人ね。相談は聞かないで、入れてあげれば良いと思うは。人生ゲームは人数多いほうが楽しいもの。」

鈴華さんは、そう言いながら、僕と枢木さんの横を通り家の中へ入っていった。


「そんなものですか?まあ、鈴華さんが言うなら。」

まあ、人生ゲームのメンバーが増えるのは良い。相談は無視すれば良いのか。


「それと、雀君。喉乾いたから、牛乳貰うわよ。」

少し遠くから、鈴華さんの声が聞こえた。


「はい、どうぞ。」

勝手に飲んでもいいけど。牛乳か。来年の二人三脚を目指しているのかも知れない。


「えっと、」

枢木さんは、呆然としていた。


「……まあ、相談は乗りませんけど人生ゲームはして行ってください。」

その枢木さんに向けて、そう言って笑って、僕も牛乳を飲むためにキッチンに向かうことにした。


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