第55話 珍しい別行動1

「今日は女子会に行ってくるわ」鈴華さんは、そう言って先に珍しい帰った。今日は勉強会は中止らしい。しかし、これはチャンスだ。今のうちに勉強をして差を少しでも縮めなければいけない。


「お願いします。」

そういうことで、とりあえず友人を図書室に呼び出した。まあ、別に携帯でも良かったけど。何となく、呼び出してやった。まあ、どうせあいつも暇だろうし。


「……テストって2週間後でしょ。早すぎだと俺は思うだけど、頑張るの。」

雄介は、そう言いながら欠伸をしていた。まあ、今日の女子会の事は聞いているのだろう。


「いや、そうでも無いでしょ。妥当な時間では?」

テスト勉強をいつから始めるのが正解か知らないが、今回の場合は特に、鈴華さんに勝つ必要がある。早く始めるに越したことはない。まあ、鈴華さんも同じ時期から始めてるから……


「それと、何か、久しぶりだな。雀」


「そう?まあ良いけどさ。とりあえず、お願いします。勉強教えて下さい」

とりあえず、周りの人に勉強の方法を聞いてみることにした。


「ええ、頭下げられても俺の方が成績悪いじゃん。」

雄介は、そう言いながら欠伸をしていた。まあ、実際学力は、鈴華さん>>幼馴染>僕>雄介の順だ。まあ、それは合計得点の話であって、細かく分けると違う。


「それは、総合得点ででしょ。国語を教えてください。というか。アレはどうすれば言いわけ?何あれ。」

国語だけ見ると雄介は、鈴華さんより成績が良い。って言っても誤差だけど。鈴華さんより1点,2点高いだけだけど。まあ、つまり鈴華さんは、満遍なく超優秀だが、全科目で1位を取っているわけではない。もしかしたら、雄介から聞いて学べば、国語は勝てるかもしれない。


「ああ、そっか。国語ね。勉強法を教えろと」


「正解。」

雄介は察しが良かった。まあ、聞いて出来るなら…ふっ。


「別に良いけど。テスト対策でしょ。そもそも授業聞いてる国語の。」


「ふっ」


「ふっ、じゃないから。雀。」


「まあ、聞いてはいるよ。」

聞いてはいる。睡魔と戦いながら。いや、別に読書は嫌いじゃない。むしろ好きだ。鈴華さんほどじゃないけど、本を読むのは好きだ。何で問題にするんだよ。別に好きなように読ませろよ。何で問題にするかなぁ。本当に。


「そう、テストはとりあえず、授業でした題材から出題されるから、とりあえず授業で言われたやつを丸暗記すれば点は取れる。」


「ほう。なるほど。」

もう、これ何の勉強か分からない。


「でも、学力は上がらないから俺は勧めはしないけど。漢字とかは、頑張れ。俺は知らん。」


「どうも、ありがとう。」

まあ、国語とか知らないし、大事なのはとりあえず今だから。関係ない。


一瞬立ち去ろうとした雄介は立ち止った。

「あっ、そうだ。雀。」


「何?」


「手紙の犯人って分かったのか?」


「最近、分からないことばかりでイライラしている。もしかして」


「分かってないけど。でも、動機は分かったぞ。」

雄介は、そう言ってこっちを見た。


「マジで。」


「俺らの所にも手紙は来たんだよ。雀の悪口が書いてあった。」

マジかよ。もっと早くから言っておけよ。手紙の標的は僕か。でも、マジで誰だよ。


「……やっぱり標的は僕か。」


「まあ、その悪口は、『空気が読めてるようで読めていない』,『心の底では辛辣』,『性格はまあまあ終わってる』とか、まあ確かになって思う部分もあったけど。」

雄介は、読み上げる必要のない悪口を読み上げて、それから同調していた。


「おい。昼ご飯作っただろ。この前」

しかし、悪口を言われる筋合いはないだろ。


「でも、雀の無茶ぶりを聞いたりしてるよね。お互い様だろ。」


「……まあ、確かに」

ぐうの音も出なかった。


「それは、置いておくぞ。俺が思うに、お前を孤立させることが目的なのでは?って思う。それと、悪口が的確だから、お前の事を知っている人だと思うぞ。」

雄介は、自信ありげにそう言っていた。まあ、確かにその可能性もあるのか。


「……でも、僕の事を良く知っている人なんて、もう対していないですけど。」

僕のことをよく知っている人は、幼馴染とこいつとそれと鈴華さん。絶対に違うからな。


「ストーカーとかいたりしないの?俺は、ストーカーがいる可能性を疑ってるわ。」

雄介は、笑いながらこっちを見ていた。


「いないでしょ。はぁあ。まあ、ありがとう。」

本当に、手紙の人は何なのだろうか?マジで目的不明だし。本当に、面倒くさい。まあ、鈴華さんが標的じゃないならいいか。


「じゃあ、俺は帰る。まあ、雀のストーカーでも探しに行くよ。」

雄介は、笑いながら立ち去って行った。僕は、それを見送ってとりあえず国語のノートを取り出した。

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