第45話 推理?

とりあえず、全く分からないので、勉強を始めた。暗記科目をとか言ってたけど、普通に数学をしていた。まあ、喋りながら出来るし。

いつもは、向き合って座ることが多いが、鈴華大先生が、『隣の方が教えやすいわ、馬鹿なの?』っておっしゃたので隣だ。横顔は、なんか新鮮だった。


「そもそも、目的は何だと思う?雀君。後、そこ間違ってるわ。」


化け物かな?なんで僕と違う場所解いてるのに流れるように、僕のミスに気が付いてるのかな?てか、どこ?ミス。

「えっ、間違ってます?」


「計算ミスですよ、雀くん。計算最初からし直しなさい。」


計算ミス……あっ。

「あっ。えっと、あの新聞の目的ですよね。」

計算を直しつつ、話を戻した。


「うん、そう。何だと思う。雀君。」


偽物の新聞を掲示する理由か。うーん。

「目立ちたい?いや、でも。そしたら生徒会の新聞を真似る必要はないでしょ。」

目立つだけなら、偽物よりも、新しい何かを作れば良い。


「自問自答しないで、雀君。一緒に推理しましょう。後、3問前も計算ミスしてるわ。」


あっ、マジだ。

「ああ、計算嫌い。」


「それは、そうと……目立つためって言うには、変だし、動機が謎なのよ。私が目立つことを目的にするなら、もっと別のものを掲示するわ。」


「ですよね。謎ですね。しいて言うなら生徒会を貶めるため?でも、回りくどい気がする。」

偽物は、それなりのクオリティだが、記事の内容などをよく見たら、偽物って分かるし。なにこれ。


「うーん、この回りぐどさは、手紙の人と同類の感じがするわね。全く分からないわ。」


「新聞の題材はさておき、文章の感じもデザインもしっかりしてる。シンプルに暇人だったのでは?鈴華さん。」

暇潰しの愉快犯な気がして来た。


「暇つぶしであんなことしたの?それは、無いわ。絶対にあれは、暇潰しにしては、面倒よ。」

鈴華さんは、そう言ってクビを傾げていた。確かに面倒だ。記事の内容も書くの大変だろうし、写真まであったし。写真?


「待って、待ってください。鈴華さん。あの僕の記憶違いかも知れないんですけど。」


「何?うるさいわよ。」

無表情で辛辣な事を、まあいつもか。


「写真あったよね。あの新聞。」


鈴華さんは、こっちを見て目を見開いていた。

「……天才かな?雀君」


「でしょ。僕達の写真を撮れる人は、教師と写真部。保護者もだけど、新聞的には無関係。犯人、結構減らせるじゃん。」


「結局ノリノリで、推理してくれるのね。さっき、天才って言ったけど、でも、その知り合いだったら、写真手に入れられるのでは?雀君。」

鈴華さんは、無表情でそう言った。


確かに、全校生徒よりは減ったが、結構な人数の容疑者がいるじゃん。

「……確かに、ええ、どうしよう。鈴華さん」


捜査は暗礁に乗り上げた。

「うるさいな。後輩達。気になるなら、写真部行ってくれば良いんじゃない?」

図書委員会の仕事を終えた先輩が話に入って来た。


「あっ、六角形先輩。」

先輩の名前は知らないが、まあ六角形先輩で通じるだろう。


「六角関係は私じゃないから。」

でも、それ以外の情報知らないし。


「今日は、一人で、図書当番してるんですね。見限れました?先輩」

鈴華さんも辛辣な事を言っていた。


「おい、後輩たち、先輩をちょっと、舐めてるな。」

六角形先輩が僕ら2人の前に座り机を叩いていた。しかし、ちょっとではない。


「「凄くです」」

鈴華さんと声が揃った。あらら。


「ふざけるな。……まあ、気になるなら写真部に行ってくれば?良いと思うよ。」


しばらく、鈴華さんは僕が問題が解き終わるのを待っていた。解き終わると

「確かに、雀君行くわよ。」

そう言うと立ち上がった。


「荷物、どうしますか?」


「先輩が番してくれるわ。」


六角形先輩は、「ええ」とかいろいろ言っていた。


「じゃあ、行きましょうか雀くん」


「御意。鈴華さん」

勉強会は中止になった。

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