第42話 お家デート?4

昼食を食べ終わり、片づけをしていた。

人生ゲームは、2回戦も、意外と楽しかった。

あいつら、2回目全員結婚したのは許せないけど。まあ、しょうがない。


皿を隣で洗っている鈴華さんは、ジッとこっちを見て

「雀君。良いお嫁さんになれるわ。」

そう笑っていた。今日は、ずっと上機嫌だった。いや、まあ不機嫌な鈴華さんをあんまり見たことない気がするけど。


「それは、お互い様ですよ。」

鈴華さんは、控えに行って神だった。料理は、普通に上手かったし、美味かった。マジで、神だった。


「ありがとう。で、片付けも私たちがするのかしら。」


「だって、皿割られたくないから。」

僕も、初めはそうだった。片づけは、あの人にやらせたりしていた。でも、でもだ。


「そうなのね。そんなに、あの二人は使えないの?」

鈴華さんのオブラートは破けまくって無いらしい。


「皿を3枚割られた。」

まあ、使えない。皿を割るのはあいつらでも、皿を割ったことで、母に言われるのは僕だ。


「なるほど、駄目ね。でも、あっちでリビングで、いちゃついてるのは、ムカつかないの?雀君。」


「いつも、あんな感じだし。」

ムカついても、無駄なのだ。


「なるほど、あれを真似すれば、良いのかしら。あれを真似したら、カップルぽくできるのかしら?」


あれは、カップルというか、バカップル。大体ずっと一緒にいるし。学校でも。

……それは、僕と鈴華さんもか。いやあっちは、ずっと喋ってるからまた違うか。でも、

「良くないです。」


「何で?雀君」

鈴華さんは、無表情で小首を傾げていた。


「恥ずかしいので却下。それに、まあ無理に頑張らなくても」

恥ずかしい。それに、もうカップルぽさを出す必要ないし。


「そうね。あれは、10年後ぐらいに出来るように目指しましょ。」


10年か。

「出来ますかね。10年後」


「出来るわよ。きっと多分。後、雀君。もう座ってて良いわよ。筋肉痛でしょ」


「ああ、じゃあ、残りの皿は任せたよ。ここで待ってるから。」

言葉に甘えて、残りの皿洗いを任せることにした。まあ、ここで待っておこう。


「そう、戻らないの?雀君」


「いや、あっちに戻るの嫌でしょ。」

バカップルを遠くから見てるのも嫌だけど、近くで見てるのも嫌だ。


「そう、ならさっさと終わらせるからそこら辺で待っておきなさい。お座り。」

鈴華さんは、一度皿洗いの手を止めて、こっちを見て笑っていた。


「お座り?」


「違ったわ。待て」


「犬に言うみたいに言わないでください。鈴華さん」


「うるさいわ、ポチ」


「ワン」

これ以外の返答があるだろうか?僕はとりあえずそこら辺に座った。


鈴華さんは、しばらくこっちを見て、それから、無表情になり皿洗いを再開した。

「そんな事よりも雀くん。」

それから、思いっきり話を変えた。


「スルーはやめてください。ここで泣いても騒ぎますよ。鈴華さん」

凄い恥ずかしい。


「ふっ、泣いて良いわよ。でも脅し用に動画を撮るから少し待って。雀くん」


「……それで、なんですか?鈴華さん」

泣くのはやめておこう。鈴華さんに手札を増やされるだけだ。


「雀くん。文化祭の前に、テストがあるわ。それを思い出したの。」


「ですよね。文化祭って、意外と先ですよね。」


「そうね。だから、まずは、テストを頑張りましょう。それで、明日から勉強会を放課後しましょう。いえ、します。決定よ。」

鈴華さんは、ビシッとこっちを指さした。


「別に良いですし、今までと大して変わらないのでは?」

放課後、図書室で本を読んでるか、勉強してるか。図書委員会の仕事をしてるか。どれかだし。


「確かに……私が勉強を教えてあげるわ。目指せ2位よ。」


「……自分は越されたくないんですね。」

学年1位の鈴華さんだ。


「違うは、雀くんは、私には勝てないのよ。」


鈴華さんは、そう言って少し得意げな表情をしていた。他の人がやって来たらムカつくけど、鈴華さんは可愛い。でも、勝てないとか言われたら、絶対に負けたくない。

「……僕が勝ったら、謝って下さいよ。」


「それで良いの?勝負ね雀くん。」

鈴華さんは、皿洗いを終えて、座っている僕の前でファイティングポーズをしていた。

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