第28話 女子会(春野 鈴華視点)
(まえがき 時間的に第25~27話の日の話です。)
放課後、雀くんの幼馴染に女子会に誘われた。ケーキを店で買って、彼女の家で食べるらしい。幼馴染っていう存在が気になっていたので、行くことにした。
学校が終わると速攻で、二人でケーキを買いに向かってそれから、彼女の家の彼女の部屋に入った。
「鈴木さん。本日はお招き頂きありがとうございます。」
「硬いよ。茉奈で良いって」
幼馴染さんは、なんと言うか綺麗な人だ。身長も高くて、スタイルも…なんで、ここまで違うのだろうか?…遺伝子か。
「茉奈、何で私呼び出されたんですか?」
「まず、雀、迷惑かけてない?」
「迷惑?」
雀君は、迷惑ではない。読書の邪魔はしないし、話していても楽しいし、私が、無表情でも大丈夫だ。
「雀は、いい子だけど分かりにくいから。」
「ふふ。母親みたいだわ」
幼馴染というよりも保護者みたいに見えた。
「どっちかと言うとお姉さんって言ってほしいな。あっちは、怒りそうだけど。」
「雀君は、迷惑じゃないわ。むしろ私が迷惑をかけてるかしらね。」
私がいろいろ巻き込んでいるのだ。自分で言うのも変だが、本を読んでるときに隣で、黙って本を読んだり、図書委員に付き合ってくれたり、良く、偽造でも付き合ってくれてると思う。
「そうなの?なら良いけど。」
「雀君が迷惑かけられてるのは良いのかしら?」
「それは、問題ないかな。少し楽しそうだし。」
やっぱり、幼馴染さんの保護者感が強い。
「そう。」
「それでさ、雀の何が良いの?」
「優しい、読書の邪魔をしない、会話が楽しい。後は、」
「……マジなんだね。前も言ってたけど。まあ、でも、そういうのは良いの。本当はどうなの?」
うん?幼馴染さんの表情が変だった。真剣な表情でこっちを見ていた。
「……」
「やっぱりさ、付き合ってないでしょ。私は、成志さんの対策として、付き合ってるフリでもしてるのかなって思ってる。成志さんがどんな人か調べてって変だったし。」
…雀君が?いや、違うな。普通にバレたのか。凄いな、幼馴染……。なんか、少しムカムカした。
「……」
「図星ね。いや、雀も幼馴染を舐めないで欲しいものだよ。姑ポジションとしては、それぐらい、分かるんだよ。それで?どうなの?結局、クラスメイトってことで良いの?」
クラスメイトではない。
「……友人。」
バレたけど、まあ後は手紙の件だけだし……そしたら喋ることもなくなるわね。少しつまらなくなるわね。
「なるほど。それで、一緒にいて楽しいの?」
幼馴染さんは、笑顔でそう言っていた。
「…楽しいわ」
「それで、どうするの?」
「どうする?」
「ずっと、偽装恋人?的なことを続けるわけにもいかないんじゃない。私、雀にも、自由に青春する権利はあるじゃない。」
……そうか、そしたら、部活動の件も、登下校も昼食も、休み時間も別になるのね。それに、ここまで付き合っていることが有名になったら、偽造恋人を辞めたら、別れた噂がながれたら。友人として、喋るのも大変になるわね。それで、雀君は別の子と喋るのかしら。……何か、つまらないわね。
「……ねえ、茉奈。雀君は私のことどう思ってると思う?」
「…嫌いじゃないと思うよ。嫌いだったらもっと距離を取るか、まあ心を完全シャットアウトしてると思うけど。だから好きなんじゃない?どう言う類の好きかは知らないけどね」
「そう。茉奈、心配しないで大丈夫。私決めたので。」
本当の恋人になれば解決するわね。善は急げ、今日言おう。雀君は、この家のどうせ近くなんだから待っていれば帰ってくるわ。
「……そう。それなら良いよ。ケーキ食べよう」
そんな時に携帯と心臓がなった。雀くんからだ。
「少し待ってください。」
「良いよ。なんか連絡でしょ。」
返答していたら、『いや、今隣で幼馴染の浮気を疑ってるやつがいて』そんなメッセージが届いた。
「雀君から……君の彼氏が君の浮気を疑っているらしいわ。」
「何それ。じゃあ、さっきケーキ屋さんで買った写真でも送っておいてくれる。」
「分かった。」
私は、メッセージを送ってから、さっき謎に撮ろうって言われて撮影したケーキ屋での写真を送った。
「雀くん帰ってくるまで、もう少し時間があるからね。雀くんの昔の写真でも見ながら、ケーキをゆっくり食べましょう。」
幼馴染さんは、そう言って優しく笑っていた。
シンプルにこのエスパーには、勝てないと思った。それと、何を食べたらあんなにスタイル良くなるかわ、一応、聞いて帰ろうと心に決めた。
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