第26話 遭遇2
「こんにちは、雀兄さん」
今日の帰り道は知り合いと本当に良くあった。少し怖いんだけど
「…よく人に会いますね」
「何がですか?お久しぶりです。」
「背伸びたね。真紀ちゃん」
幼馴染の妹、中学2年生の鈴木 真紀だった。久しぶりにあった。最近はバカップルが大体うちに来るし。久しぶりに見た気がする。顔は幼馴染とそっくりである。
「背伸びてないです。適当なこと言わないでください。」
「ああ、そうなの。何してるですか?」
大体背が伸びているものだと思ったが、どうやら外れたらしい。
「ちょっと散歩です。どうです?」
「嫌です。勉強しなさいよ。」
気が付けば、そう言っていた。仕方ない、ほぼ妹だし。一人っ子の僕にとって幼馴染は……姉で、真紀は妹のようなものだった。
「お姉ちゃんみたいなこと言わないでください。」
うわ、なんか最悪。
「中学校はどうですか?」
「……勉強つらい。なんで私立に…」
「それは、姉が行ってたからでしょ。」
「だって、二人が行ってたから。なんかどっちも余裕そうだったし。」
「……勉強してたからね。」
ここら辺は、私立と公立の中学がある。
春野さんは公立中学校で、僕や幼馴染や友人は私立中学校だ。
友人の理由は知らないが。僕と幼馴染は家からの距離で選んだ。
特待生入学するために死ぬ気で勉強したから、どっちが楽だったかわ今では分からない。まあ高校生の僕にはもう昔の話だ。
「嘘だ。お姉ちゃんが勉強してるところみたことないし。」
「はは。まあ、何処に行くか知らないけど、気をつけてくださいね。」
いや、幼馴染はうん。なんであの感じで勉強できるんだろう。
「分かってるよ。雀兄さん。お父さんみたいなこと言わないでよね。」
「そこは、兄で良いと思うんですけど。」
「では、さようなら。」
真紀は笑いながらそう言って、散歩に去っていった。
帰るか……電柱の陰からこちらを見ている知り合いと目が合った。知り合いというか。うーん。春野さんの妹って知り合いカウントで良いのかな?
「……」
無表情でその人はこっちを見ていた。
「……」
「ええ」
何を言うでも無く無表情でこちらを見ていた。
「姉の彼氏の浮気現場を見てしまいました。」
「誤解ですからね。幼馴染?幼馴染の妹ですから。」
凄まじくややこしくなりそうな勘違いをしていた。もう、面倒ごとは勘弁である。
「あっ、これは修羅場チャンスですね。お兄さん」
「姉妹。同じようなこと言いますね。」
「それにしても、今日は一人なんですね。姉さんは?」
「えっ、ああ。」
なんか動揺していた。
「浮気をしているのは姉の方でしたか。」
「違いますからね。……」
違うよね。いや、偽造なんだから浮気も何もないのでは。そうだよね。いや、そもそも女子会って言ってたし。いや、まあどうでも良いけどね。そもそも、僕には関係ない話なのである。
「……」
無表情で春野さんの妹はこっちを見てた。それから、しばらくすると目の前で電話をかけ始めた。
「もしもし、お姉ちゃん。今何してるの?」
「…えっ。」
「うん、いや、今泣きそうな顔で一人トボトボ歩いてる雀さんと出会って」
誇張している。誇張広告ってこんな感じなんだ。
「うん、なるほど、分かりました。では」
「……誇張は良くないと思いますよ。」
「そうでも、無いと思いますけどね。それと大丈夫だと思いますよ。」
「何がですか?」
マジで何だよ。本当に、ああ、本当に。落ち着けよ、本当に。
「では」
そう言うと何処かに歩いて行った。
「……マジで人とよく合うな。」
今日は、そういう日なのかも知れない。
帰るか。
そんな時に携帯に
『大丈夫よ。』
そんな風に送られてきたメッセージに『違います』と返すのも何か違うので『そうですか。』とりあえずそう返信していた。
帰ろう、そして寝よう。
とりあえず、分かったことは、一人だと、帰り道がいつもの二倍に感じた。
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