第23話 どうする?

あの後、呼び出された僕らは、まあいろいろ言われたが、結局、まあ耐えた。

あっちは、暴力行為で謹慎処分らしい。

ちなみに、『何でもっと早くに相談しなかったかのか』とか言われたが、無理だろ。まあ、教師側の多分、言うことなくてそう言っているのだろう。

まあ、そんなものだ。

それで、いろいろあったが、とりあえず放課後図書室にやって来ていた。


「ねえ、雀君。どうしますか?」

春野さんは、無表情でクビを傾げた。


「どうするって?まあ一応は解決したけど、しばらくは続けたほうが…いや、終ってないですよ。」


「うん?ああ手紙の件でしょ。それなら、大丈夫だわ。」

春野さんはドヤ顔だった。可愛いな。……いや、何故にドヤ顔だよ。


「何が?」


「私、犯人分かった気がするわ。」

名探偵らしい。どうやら、名探偵は彼女で僕は助手ポジションだったらしい。


「マジですか?」


「ええ、マジよ。雀くん。」


「それで誰ですか?」

全く見当がつかなかった。


「愛甲さんよ。条件にピッタリ、当てはまってるのよ。」

愛甲さんは、あのややこしい状況を救ってくれたうちのクラスの委員長だ。もしかして、中学からの同級生だったから、名前を憶えていたのか。


「でも、たくさんいるって」


「そうね。でも、まず、君の二股の噂を聞いたのは、彼女からなのよ。」

確かに、怪しい。ミステリー的には、ありそうだけどな。ミステリーじゃないし。


「そうだったんですね。」


「ええ、それに、可笑しくない。私が二股の噂を聞いてから成志さんが噂を聞くまでの時間。」


確かに、僕と春野さんが付き合っている話が流れる速度と二股の流れる噂の速度が違いすぎる。

「確かに、あの感じだと最近知った感じでしたよね。」

成志さんは、知ったらすぐにやって来るしな。


「それに、風花さんの家も知っているらしいわ。聞いてきた。手紙は家のポストに入っていたらしいわ。」

マジで怪しいな。でも、だとしたら動機は何?僕は、彼女と接点はある。同じクラスだし、普通に喋ったことはある。でも?


「……だとしたら、鈴華さん、なんか恨みでも買ってますか?」


「…無いわよ。ずっと良い人よ。彼女。君は?」

春野さんでもないなら、動機がない。シンプルに頭可笑しい人って可能性もあるけど。だとしても手が混みすぎだしな。ええ、分からない。


「無いですよ。喋ったことはありますけど、別に普通ですよ。」


「……」

春野さんは、少し小さく笑いながらこっちを見た。無言で見た。


「……」

うん、なるほどな。


「雀くん、名推理したつもりだったけど撤回しても良い。」

春野さんはそう言って小さく笑った。いや、名推理だと思う。でも動機がないのだ。


「そうですね。まあ、もうしばらく偽装恋人を続けてみましょう。」

最初の偽造恋人の目的は終わったが、あと一つの手紙問題は結局解決していなかった。


「そうね。それで様子を見て犯人を捜しましょうか。」


「そうしましょう。それで、一つ良いですか?僕をからかって楽しむのやめてくれませんか?」

ルールの追加だ。絶対に必要なルールだ。本当に、絶対に必要だ。


「却下ね。雀くん。」


春野さんは、渾身の笑顔でそう言った。

……嫌だけど、もしかしたら僕は、Mでロリコンなのかも知れない。

まあ、そんなくだらないことを考えながら

「………性格悪いですね。」

そう笑った。


「ありがとう。褒めてくれて。」

ご機嫌に笑ってから、春野さんは読書を始めた。


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