第6話 カオス1

「まあ、隣に座りな。」

朝、集合場所にいて、ブランコに座っていた。春野さんにいきなりそんなことを言われた。


「まあ、30分前に来たので時間はありますよね。」

今日は集合時間30分前に来た。


「ねえ、天野君ってモテモテなのか、浮気男なの?」

いきなり、そんなことを言われた。


「何が?」

身に覚えのない話だった。


「今、君3股してるって噂流れてるわ。」

彼女は、少し笑いながら睨んできた。


「……怖。誰が、言ってたんですか?」

なんか、春野さんの恋人のフリって想像以上に面倒ごとだったらしい。まあ、ここまで来たら、付き合うけどね。


「昨日、いきなり中学の同級生からそういう連絡が送られてきたのよ。」


「怖いですね。」


「それに、君の彼女を名乗る人が言いふらしているらしいわ。」

彼女は、笑いながらそう言った。分かってないな。


「ははは、僕の持っている連絡先。今、家族を抜かすと4人だぞ。一人は君で、残り二人はカップルだよ。」

僕の人間関係は狭かった。


「可笑しいわよね。流石におかしいわ。天野くん。私より面倒な事に巻き込んで申し訳ないわ。」

彼女は、丁寧に頭を下げた。なんか、そう言われると、巻き込まれたとか言われると否定したくなった。


「別に自分で参加しただけなので。でも、成志さんがここまで普通はしませんよね。うん。流石に?うーん?」

それより、春野さんと付き合うためだけに成志さんがここまでする気がしない。なんか、普通に僕が嫌われているだけな気もする。分からん。


「いえ、それは違います。あの人がここまでの事を出来るとは思えないんです。」


「……」

ああ、確かにな。なんか直球勝負、脳筋ムーブしている気がするしな。


「ああ、それと姉と妹が絡まれたのは、あの人っぽいわ。さて、どうします?」


「うーん、まあ。とりあえず、普通にもっと恋人感を出していればなんとかなるんじゃないですか?」


「どうするの。私分からないわ。」

彼女は、無表情でそう言った。


どうしようかな?あっ

「うちに、あれがありましたよ。一輪車、ネコ?あの雑草を運んだり荷物を運んだりするやつ」


「何でそんな物が家にあるの?」


「僕も聞きたい。」

なんか、あったのだ。


「君が言いたいことわ分かるわ。まあ、確かに私を運搬して学校に行ったら目立つわね。激ヤバカップル認定で一発です。でも、それは無しよ。リスクが高いわ。」


「そうですよね。じゃあ、どうしましょう。」

方法など思いつかなかった。


「手でも繋いでみますか?」

彼女は、横に座った僕を見ながら笑った。


「いや、歩き辛そう。」

手を繋いで歩く意味分からなかった。


「……モテないわね。天野くん、確信したわ」

彼女は笑いながら、そう言った。


「確信しないでください。」


「まあ、そうね。呼び方を変えるとか。どうかしら?」

彼女は、そう言うとブランコから降りて、僕の目の前に立ち、無表情で指さした。


「呼び方ですか?」


「そうね。呼び方を変えるとかわ。どうかしら?」


「呼び方ですか?鈴華さん?」


「何、すずめくん。良いわね。では、行きましょうか。」

そう言って彼女は歩き始めたので、僕もブランコから降りて彼女の後ろを歩き始めた。


「そう言えば、僕の名前知ってるんですね。」


彼女は立ち止まり振り返った。

「だって、偽装でも彼ぴですよ。それに、雀って名前可愛いらしいからね。」

そう笑った彼女は可愛かった。まあ、実際、偽造だとしてもこの人が恋人役なら、二股とかするわけないよなって思いながら、彼女の後ろを歩いた。

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