第2話 ルール

「天野くん。ルールを決めましょう」

ジュースを奢って貰った後で、しばらく無言で帰宅していたが、春野さんはそう急に口を開いた。


「ルールですか?」


「ええ、あのロリコンのうるさい勘違いしている人が私を諦めてるまで、君は私の彼氏をしてもらう必要があるので」


ロリコンのうるさい勘違いしている人……

「……成志さんの事ですか。」


「ええ、私うるさい人は嫌いなのよ。それにいや、これは流石に、暴言過ぎるわね。」

彼女はそう言って小さく笑った。


「まあ、僕を巻き込んでまで、告白を断ってるぐらいですから、嫌いですよね。。」


「ええ、それに試しに付き合うとか言われても無理よ。好感度はマイナスなのに」


「……」

何でそこまで成志さんの好感度が終わっているのだろうか?

多分、僕に対する好感度は、さっき助けたブーストで多少上がっているとはいえもともと普通ぐらい。つまり、彼女は理由無く嫌うタイプでは無いはずだ。


「何で?って思っている顔をしているわね、天野くん。あの人最近ずっと、私が休み時間に本を読もうとしていたところで話しかけてきて邪魔してきたのよ。」

ああ、なるほどなんかアピールがマイナスになったのか。いや、絶対に途中で気づくでしょ。いや気がついて無いから告白しているのか。

まあ、何でも良いか。


「……とりあえず、まず、そもそも僕は何をすれば良いですか?地球の中心で愛でも叫べばいいですか?」


「マントルに行く必要はありません。そうね。私の彼氏をしてください。」


「彼氏って何をすれば良いんですか?」

彼氏、彼女って言う概念が理解出来ていなかった。何の必要性があるのだろうか?


「とりあえず、登下校を一緒にして、お昼を食べましょう。休み時間も近くで本でも読んでてください。後は……何かあるかしら。」

それはお互い様らしく彼女も、少し考える様に斜め上を見ながら無表情でそう言った。


「聞かないでください、知りませんよ。」


「そうね。まあ後で考えましょう。それで、ルールを決めましょう。」


「ルールですか。そのルールって何の?」


「私達の関係のルールです。」


「ああ、なるほど。」

禁止事項的な物があるのだろう。


「ええ、私が思うルールは3つです。1つ目は、何か困ったことがあった場合は、相談して決めるってことです。」

ほうれん草はビジネスの基本らしい。


「分かりました。しっかり相談しましょう。」


「2つ目は、私が本を読んでいるときは邪魔しないでほしいです。。」


「分かりました、じゃあ僕も本を読みますよ、その時は。」

僕も彼女程では無いが読書は好きだった。本を持ち歩けば良い。


「3つ目は、これは、ルールというか。対価として何が必要ですか?天野くん」


対価……

えっ、対価……

「……別に要らないです。僕が助けたいと思って助けたので。何か見返りの為に助けたとかいやですし。それに、聞き耳を立ててた僕にも非はあるので」

それにシンプルに少し面白そうだったし、何か対価くれるって言う人から対価を貰いたくなかった。


「めんどくさいですね。まあ、何かあったら教えてください。検討しますから。」


「分かりました。あっ、一つだけ質問していいですか?」


「良いですよ。」


「僕と付き合ってるって思われても大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。問題無いわ。むしろ君に問題あると思うわ。」


「??何でですか?」

まあ一部から反感を買うが、そもそも成志さんから反感を買うのは確定してるから別に1でも100でも対してもう変わらないだろうし……


「ロリコンって思われるわよ。」


ああ、うん確かにな

「………まあ、しょうがないですよ。あっ、連絡先交換しましょう。」

ほうれん草する為には、連絡先を知っていた方が良い。


「そうね。そっちの方が便利だわ。分かった。しばらくよろしくね天野くん。君が変な人で助かったわ。」

彼女はそう言って笑いながら携帯を差し出した。飛び切りの笑顔に少しドキッとした。ロリコンの素質はあるのかも知れない。


「失礼ですね。よろしくどうぞ」

そう言って彼女と連絡先を交換した。まあ、明日からしばらく頑張ろうと思う。

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