クラスメイトが告白されてる現場に遭遇してしまった結果、付き合う事になった

岡 あこ

付き合い始めた 偽

ぐうたら喋ってる編

第1話 プロローグ

忘れ物をしては行けない。いや、しても良いが学校に教室に戻って来なければ良かった。でも携帯忘れたら取りに戻るでしょ。


「俺と付き合ってくれない?」

教室でクラスメイトがクラスメイトに告白していた。

放課後の教室、夕日が差し込みまあ、それなりに絵になる光景だった。

青春がその風景からは溢れていた。


僕は、その光景に気が付き、思わず隠れた。


告白していたのは、クラスの中心で騒いでいる成志君。まあ、のんびり生きている僕とは縁がない人だった。


告白されていたのは、春野さん、勉強が出来て教室でいつも静かに本を読んでいる可愛らしい容姿をした人物であった。前に一度、喋ったことがあるだけだった。


何というか意外な組み合わせだった。

どっちも目立つ存在だが、接点はあまりない組み合わせなのだ。


「……無理です。」

そして春野さんは、断っていた。やばそうだし、忘れ物は諦めて、帰ろう。

そう心に決めても僕の心の中のマスメディアが、僕がその場から去るのを止めていた。


「良いじゃん。彼氏いないんでしょ。試しにさ。」


「……試す必要ありません。」

無表情で春野さんは答えていた。

ていうか、成志さんは、ロリコンなのだろうか。

春野さんの見た目は高校1年生には見えない身長も多分145㎝ぐらいだし、童顔だし、スタイルも。


「じゃあ、まずは友達からさ。」


「私と貴方が友達になれるとは思いません。それに、私には彼氏がいます。」

春野さん、彼氏いたんだ。何か意外。まあ流石にそろそろ帰るか。バレたらまずいし。


「嘘なんて付かないでよ。それに彼氏より俺の方が絶対に良いと思うな。」


「それは無いです。」

言い切ったし。まあ、そりゃそうか。何で成志さんは、謎に自信があるのだろうか?


「……彼氏がいるならさ、誰かぐらい教えてくれても良いじゃん」


「何であなたに言う必要があるんですか?」


「良いじゃん。彼氏がどんな奴か気になるでしょ。」


「…はぁあ。それは…私の彼氏は天野くんです。本当かどうか、確認したいなら、心配で見に来てくれてるので、聞けば良いですよ。」

春野さんはそう言った。

天野は僕の名字だった。バレてるし、彼女をよく見ると僕が教室に忘れた携帯を持っていた。


「あっ」

思わず声を出してしまった。

2人の視線はこちらに集まり、成志君はこちらに近づいて来て、


「えっ、本当なのか、天野」


まあ、もちろん付き合っていない。多分、彼女が振り切る為についた嘘だろう。

ここで嘘に乗るか?乗らないか?

いや、でもなこの二人だったら、圧倒的に春野さんの味方をしたい。

成志さんは、好きじゃない。騒ぐのはいいけど、マジでクラス全員でとか言って巻き込まないで欲しい。それに、春野さんには、昔、落とした携帯を拾って貰ったことがあるしな。携帯取られてるしな。


「……うん、まあ。」

それに、よく考えれば、ここで嘘を付かないと他人の告白に聞き耳を立てたって事になるし。…今、それを隠す為に嘘をついた事でもっと最低になったけどね。


「そうか。そうだったのか。それは申し訳無かった。じゃあな。」

目がめちゃくちゃ睨んでるし、まあ最悪に巻き込まれたのは変わらないか。


成志さんが立ち去った後で、しばらく教室で無言で過ごした。

「……とりあえず、一緒に帰りましょうか?彼氏君。」

先に口を開いたのは春川さんで、小さく笑いながらそう言った。


「……とりあえず、説明とジュースが欲しいんですけど」


「ジュースは無しよ。私の手には、君の携帯があるのよ。」


「じゃあ、ジュースは無しで良いので携帯を返してください。」


「ええ、ラッキーだったは、君の携帯はラッキーアイテムね。」


「誰かの幸福は、誰かの不幸ですよ。」

彼女にとってこの場を逃げ切る為の切り札となった携帯はラッキーアイテムだっただろうが、僕にとっては巻き込まれる要因を作ったアンラッキーアイテムであった。


「でも、私の幸福は君の幸福だから、みんな幸せよ。」

彼女は、そう冗談ぽく言いながら小さく笑った。


「やっぱり、ジュース奢ってください。」

ジュースぐらい奢ってもらっても罰は当たらないと思う。


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