第10話 汚染(2)
書類仕事が終わり私達は紅知さん、ノイさん、ルチナさん達の研究組に呼ばれ集まることになった。
研究室に着くと白衣を着た研究組が居た。
「私達、三人はやっとこのウイルスのワクチンが出来ましタ!」
「おぉ!てことは病院に支給されるってことアルな」
「その通りじゃ。しかも、ワクチンが出来た事で学校も始まるのじゃ」
学校か…授業も遅れているし、キツキツなスケジュールになりそうだな。
「そこで紫柏ちゃんと功次君なんだけど、君たちは残念ながら学校に通うことが出来ないんだ」
通うことが出来ないってなんでだ?
「君達には今回の任務を頼みたくてね。花瀬ちゃんは中学生だから学校に行ってほしいから連携もとれる二人に任せたいんだ」
連携…兄妹っていう理由で選んだろそれ。
「一応、わしも行くぞ?ワクチンやもしもの為に対応できるからな。後一人ぐらいほし…」
『私も行く』
ルチナさんの言葉に食い気味にシャーロットが発言する。意志が強いよ。
まあでも、シャーロットは病気にはかからないから行っても問題なさそうだしな。
そんな事から今回の任務の担当は
私達はワクチンを打ちウイルスの原因になってるであろう施設に行くことになった。
施設は地下にあり暗くライトをつけないと何も見えなかった。
「埃くさいのぅ。息をするときは気を付けるのじゃぞ、ここはウイルス濃度が最も濃いからな」
ルチナさんはライトで周りを照らしながら周りにある箱の埃を手につけながら言う。
『ここにスイッチがある。付ける?』
シャーロットが壁にある照明のスイッチを見つけ付けるか聞いてきた為、明かりを付けることにした。
「ここは地面がガラス張りだな」
「あの巨大なパソコンも気になるのぅ。少し弄くってみるか?」
「大丈夫なんですか?ここの人にバレたりは…」
「しないだろ、居たとしても明かり付けた時点でバレるはずだし」
ルチナさんがパソコンを弄くっている時、残りの三人は分散してガラスの部屋を私が探索、他の部屋をシャーロットと兄の功次が探索することになった。
兄が居るのなら何か出ても問題はないだろう。
私は自分の仕事に集中しよう。
ここはなんでガラスなんだろうか、地面をガラスにするなんてそうそう無いし。何かありそうだな。
ルチナさんがパソコンを弄り始めて数十分経ち、この部屋にある書類や本など隈なく調べたが怪しいものは無く困っていた所、後ろから嬉しそうな声が聞こえた。
「よーし!後はここを解除すれば…出来た!」
ルチナさんがパソコンのEnterキーを押すと地面のガラスの曇りが取れ、クリアになった。
そこには、人型の化物がいた。目の形が違う者や手や足が大量に付いている者など、痛々しいものが多かった。
「こりゃ、趣味が悪いな…わしでもこんなのは作らんぞ」
「このガラスの下に行けたりしないんですかね。調査するのなら行かなくてはいけませんし」
『他の所は何もなかったよ』
「研究データが載ってる書類とか見つけたけど特にめぼしいものはなんも」
他の部屋の探索に行っていた二人が戻り話し合いをしようとしたところに少し意地悪な声が部屋に響く。
『下が気になるのなら行くといい』
声の方に振り向くことも出来ず地面のガラスが割れ、私達は落ちた。
「うぅ、尻が痛い」
「ガラスの破片が刺さらなくてよかったのぅ。老いぼれにはこの衝撃は強すぎる」
『ガラスが危ない』
「腰やった…年が…」
ガラスだらけであぶな…って、おいルチナさんはまだしもお兄さん貴方まだ二十歳だろ⁉
にしても、あの声は誰なんだ。気配はしなかった。薄っすら見えたのは翡翠色の髪の毛だけ、そしてさっきからシャーロットが暗い顔をしている。
「君達、そーんな暗い顔するんじゃないよ。老いぼれに場を和ませる事はできんぞ?」
「ははっ、すみません。考え事をしてました」
「……なぁ、すまないが質問いいか?」
兄が真剣な表情で聞いてくる。
「どうぞ」
「シャーロット、お前何か知ってるだろ」
『なんで…?』
「さっきから常に暗い顔をしているのもあるし落ちる時に聞いた声がお前と似ているからだ」
「似ている……?ほぉう、確かにね。作られた存在は『親』の特徴が出る、シャーロットちゃんの場合声に機械音声感がある。あの時聞こえた声も機械音声っぽかったのぅ」
「シャーロット……」
私はシャーロットに視線を向ける。シャーロットは言いずらそうにしていたが、覚悟を決めたのか声を出した。
『功次の言う通り、私はあの人を知ってる。何せ姉妹だから』
「姉妹…!?」
「おいおい、何だよこの展開………」
「姉妹という事は、同じ人が作ったのじゃろう?」
『その通り、お父様であるハーゼル博士が作った。私はまだ小さいから研究室に居た。だけどお姉様達は既に外に出ている』
「お姉さん……」
兄が姉という言葉に反応する。
これだから年上好きは…かと言ってる私も年下好きなんですけどね。
「それで?今回の主犯はシャーロットちゃんの姉なのじゃろう?何て言うのじゃ?」
『ナトューラ姉様。私を含めて十三人いる。その中の六女』
「十三…結構居るんだね。もしかして、シャーロットは十三女?」
『うん。だからお父様は私を大事にしていた。他のお姉様達は能力が完璧になっているから』
「能力か。シャーロットは何の能力を持ってるんだ?」
『私が持ってるのは『縁』。簡単に言うなら私がリボンを操れているのが能力。ナトューラ姉様は『自然』だよ』
「『自然』かぁ。普通に厄介そうな能力だね。どうしますか?外部と連絡を取ってひとまずは退却するのもアリかと」
「そうじゃな。なんとかここから脱出して、シャーロットちゃんが言う十三の姉妹について考えた方が良さそうじゃ」
ルチナさんが、本部と連絡をとりここから脱出出来るよう縄を持ってきてくれるそうだ。
少しした後、ルチナさんの部下が縄を持ってきてくれて私達は脱出、出来た。
シャーロットの言うナトューラという人がここに居るのなら、今回の謎の病は『自然』の能力を持ってる彼女が起こした事なのだろう。
桜瀬さん達と話し合って今後の計画を考えなければいけないな。
去って行く、紫柏達を見て翡翠色をしたロン毛の白衣を着た女性がギザ歯でニコりと笑う。
『次の来店を待っているよ……裏切り者』
女性は音もなく、静かに姿を消してしまった。
銃戦少女 柏陽シャル @black_person
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。銃戦少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます