第4話 殲滅(2)

 「ちょっとノイさん、早いですわ!」

「えー?そうかナー?」

葵が過呼吸になりながらノイを追いかけ話しかけるとノイは気付かなかった為か疑問の顔を返した。

「ガンガン進み過ぎですわ!」

「うえー?葵っちが遅いだけダヨ」

「何なんですの、私50メートル走7秒台でしてよ?」

「地味に速いのやめてヨ…」

「ノイさんはどうですの?」

「……測ってないから分からなーイ」

ノイは学生時代は引き籠もりで外に出たことが無かった為分からないのだった。

「そう言えば何故、紫伯と花瀬ちゃんは一人なんですの?」

「うーんあの子達はここに入って約2年言わば新人だからネ。例え名前をもってる部隊に入ってるとは言えこれからもどんどん依頼は増えていくだろうし今の内に人を従える力は付けとかないとネ」

「ジョンと功次の部隊は…」

「あれはただの興味本意」

「嘘でしょ………」

ノイの気分屋に振り回される葵はげっそりとし戦闘が始まっていないのにも関わらず疲れていたのだった。



 「いやーノイも案外きちんと考えているもんだねー」

「ホントか?このチームを組んだ時あいつ、馬鹿みたいな顔してたぞ」

「何も分かってないねー相棒は」

「んだと?」

「ヤーコワーイ、ヤンキーガオソッテクルワー」

棒読みの紅知を前に海は呆れしか出てこなく溜め息をこぼした。

「あの子達はのこの組織に入ってまだ浅いんだ。そしてこれからは今まで以上にキツイ戦いになるだろうからね、今の内に隊長の大変さを分かっといたほうが良いだろう」

紅知は怪しげな笑みを浮かべながらそう言うと海は質問をした。

「これから何があるんだ?」

「さあね、ただ強力な敵が出るんじゃないかな?」

「……何を根拠に言ってるのか分からんが、もしお前がこの組織の敵ならば容赦はしないぞ」

「あははっ!酷いねえあたしはこの組織の事好きだけど?」

「お前は何があるか分からん、そもそもお前は敵組織の子供だっただろ?安心は出来ない」

「相棒は辛辣だね〜それにあたしはあそこにいたくて居たわけじゃないからさ」

 紅知は敵の科学組織の奴の奴隷だった。科学組織を調査した桜瀬らは一人の子供、紅知を見つけCTB組織に迎い入れたのだ。

 それから紅知は組織の為に幼い頃に見てきた科学でCTB組織の一員として支えてきた。だがしかし海は紅知と同期、そして敵組織に居た者として警戒をしていた。



 「……皆意気消沈しちゃった」

私の隊員は何故か意気消沈していた。暗い顔してるけど……そんなに私刺さるような言葉言ったかな?

「隊長、すみません結構根が弱い奴等ばかりでして…」

1人の女性隊員が私に声をかける。彼女はたしかー、ここの隊員達の隊長だった人だっけか。部隊を組むってなった時に私が隊長になったからここだと副隊長か。

 「えーと、別に大丈夫ですよ。まあこの人達が言ってた事は大体は分かりますから」

 若造に命を託したくないのは別に分からなくもないが、若いからって弱いわけじゃ無いしあそこまで言われると私が嫌われやすいのかそれともここの民度が低いのか……民度は低くないと思うんだけどなあ

 「心が広い方で安心しました。私が隊長の時はこんな事無かったんですけど……」

彼女は深々と頭を下げていた。別にそんなしてもらわなくても!

「頭を上げて下さい!」

「いえいえ、ホントに申し訳なくて」

「大丈夫ですから、それに私の時だけというのは貴方が信頼されている証拠でしょうし。今回だけだと思うので次からも頑張って下さい」

「有難う御座います!」

年下の私が言うのも何だけどなあ。この人多分25ぐらいだろ…普通に年上なんですが、まあここだと対して年齢は関係無いか。ノイさんだって年齢分かんないし、あの人何歳なんだマジで。

 「うーむ、私一人で行くのもなあー」

「私が隊員の気力を出しますので少々待ってくださるとありがたいのですが…」

 ならここは任せようかな。私は兄みたいにゴリ押しで行く人じゃないからな士気の上げ方分かんないし……戦闘アニメは見てるんだけどなあ見てるだけじゃ実戦投入出来ないってハッキリ分かんだね。

 ゴゴゴ…!ガシャン!キーン!

え?何の音ですか?

 士気を上げるのがムズいと考えていたら突然謎の音が鳴り響いていた。そしてその音と同時に聞き覚えのある声も…

『しゃあ!お前ら行くぞ!進めー!』

『突撃デス!』

 この声は……兄とジョンさんの声か、あーなるほどねうん、納得…出来ないよ!何でこんなに音出しながら行くの?おかしいでしょ。何故だ何故そんな爆音で進むんだよ戦ってるんだろうけどさ音がおかしいよ。

 これのせいか、葵さんが胃薬を何度も処方している理由は……あの人の部屋胃薬だらけになってそうなぐらい処方してたし、大丈夫なんかな。処方規約は守ってるだろうけど不安だわ。

 「隊長!隊員は皆やる気に満ち溢れていますよ!」

「……早くね?」

素が出ちゃったよ、早くないですか?これが隊長か…いやいや、無理ですよこんなん私には無理でっせ?

 私は隊員の方へ向くとさっきまで意気消沈していたのがまるで嘘だったかのようにウキウキと筋トレをしている隊員達が居た。

何故に筋トレ…準備運動か?いや別に私達の部隊は静かに潜入するだけだし戦闘はそんなしないと思うけどなていうかよく見るとムキムキの人多ない?愚痴吐いてたのは痩せてた人だけど…潜入には向いてない部隊じゃないですかこれ、何故ムキムキの人を選んだんだよ。選別間違ってるよ、この人達は兄の方の部隊でしょ絶対。

 恐ろしさを感じながらも私は刃線工場内を歩いていた。今の所敵は見えないけどな、このまま平穏に終わってくれどっかの道でヒョコって博士出てきたりしないかなそうしたらもう帰れるんだけど………

 私はそう思った瞬間足が止まった。そう目の前にはこの事件の主犯であるだろう人物、ハーゼル博士が居たのだ。これが有言実行ってやつですか?…ておい!逃げんな、いや逃げるか…普通は逃げるかそっか、じゃない!早く追いかけないと……

「皆さんハーゼル博士を追いましょう!」

「「「「「「「「「うす!!!」」」」」」」」」

待ってくれ、気合入りすぎだよ。

 私はムキムキ隊員の背中を見ながら博士を追っていた。あのムキムキ達、足速すぎません?私が遅いのか?でも50メートル走9秒台ですよ、平均なんですけど、隊長の私を置いて行かないでくれ…ていうかこんなムキムキ達に追われる博士、怖いだろうなごめんな、これも仕事なんだよ。

 私は恐怖とすまないという感情に押し潰されながらも博士を追いかけた。

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