第3話 前勇者
生きてた……
俺ら以外のクラスメイトが生きてたんだ。
「ミヤごめん…少しだけ彼と話してもいいかな?」
「あぁ、私的には構わないよ」
そう言ってミヤさんは先に目的地に行くといって歩いていった。
「久しぶりだね…優真」
「あぁ…久しぶり」
俺からしたらこの間までクラスメイトと一緒にいたんだけどな……
この世界で俺らは歳を取らないみたいだし…
朱音がいつ頃からこの世界にいるのかまるで分からないな……
「ミサンガが光るなんて久しぶりだなぁ……」
「アイツとは色が違うな……」
吉野の時は白色に光ったのに…朱音は赤色だ。
「色が違う?もしかして優真他のクラスメイトに会ったの!?」
「あ、あぁ」
「誰!?誰にあったの!その子は生きてるんだよね!?」
「吉野だよ吉野楓」
「楓ちゃん!?楓ちゃんは今どこに……」
「正教会に行くとか言ってたな」
「正教会か…もしかして楓ちゃん神様信じてるタイプの人?」
「いや…そういう訳じゃないな。アイツ聖女なんだよ」
「えっ!?聖女!?昨日召喚されたって言われてる?ってことは……優真は…」
「あぁ、勇者だ」
「そっか……そうだよね…」
「どうしたんだよ?」
「いや……勇者ってことは魔王を討伐するんだよね?」
「まぁそりゃ、使命だからな。よく分かってはいないけど」
「ねぇ優真……私ねこの世界に100年くらいいるんだよね」
「100……100年!?」
100年ってことは……ここら辺に生きてるやつよりもかなり生きてる。
それに100年前にも俺みたいな勇者が居たって聞いた……
それは召喚魔法によって呼び出された勇者ではなく貴族の人だったと言っていたけど…
でも、その人は魔王との戦いの末亡くなって、代償としてこの大地は荒れ果てた。
そう王様からは聞いている。
「君の前の勇者はね、名はエリック、本名は高橋海斗なんだ。」
「は…?海斗?」
それは俺らのクラスメイトであり、俺の幼馴染の名であった。
「うん、私ね今もあの時の光景が目に焼き付いてる…敵を私達の方に引き付けて海斗は先に魔王の元へ行ったの……でもね…私たちがたどり着いた時には海斗はもう死んでた。あの光景は今でも忘れられないよ……私たちは仮面をつけて活動をしていたから顔がバレるとかそういうのとかはなかったから誰からも責められることも無く今も生きてるの…まぁ私以外みんな寿命で死んじゃったんだけどね」
そう朱音は笑っていた…
笑えるはずがない……海斗が死んだんだ。
それが例え100年前の事だとしても変わらない。
「辛かったんだな…」
「……うん…辛かった…私も一緒に行っていれば海斗は死ななかったのかもしれない!海斗は……優真と…再会出来てたのかもね…」
「お前のせいじゃないよ」
「……ありがとね…私がこんなこと言うのはおこがましいのは分かってる…あのね…魔王を倒しに行く前に1度この世界を見た方がいいと思うの」
「この世界を?」
「うん、私たちにはこの世界でいうステータスという概念がないの。」
無かったのかよ……
「だからね自分のレベルがどれくらいなのかとかが分からないの…だから世界を旅して力をつけて魔王を倒して欲しい。私でよければなんでも手伝うから…!」
この世界を旅するか……王様もそんなような事言ってたよな。
この世界に何があるかはまだ俺には分からない。
それにこの世界のどこかにいるクラスメイトと俺はまた再開したい。
全員で笑うことは出来ないけど会いたいんだ。
「ならさ、朱音も着いてきてくれよ」
「えっ?」
「俺たちと一緒に着いてきてよ。この世界を旅するの」
「いいの…?私なんかがついて行っても?」
「いいに決まってるだろ。吉野もきっと喜ぶよ」
「そっか……ならついて行こうかな!」
「おう」
「あっなら私から1つお願いがあるの!」
「お願い……?」
「そう!次行く国の話になっちゃうんだけどね。海斗のこの世界の故郷のマキナ王国に行きたいの…そこに海斗の書籍があるんだけど…私海斗が魔王との戦いに敗れてから1度もあの部屋に入ってないんだ……同じ勇者として優真に必要な情報とかあるかもしれないじゃん?どうかな…?」
「いいなそれ!でもまずはこの国をまわるよ」
「うん、そうだね」
俺と朱音は再会を果たした。
この再会がどんな結末を迎えるかなんて分からない。
でも俺たちはきっと進んでく。
クラスメイトとまた笑い合える日々を目指して。
魔法陣で異世界来たのでクラスメイト探そうと思います 天宮 奏 @Kanade_Amamiya
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