第12話 超巨大異生物5号マ―ドン2世の脅威!!

前書き


 いつからこの作品がコメディだと錯覚していた?


前書き終わり

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『臨時ニュースをお伝えします。本日午前に日本の或島に超巨大異生物が出現したと発表されました。これに伴い付近を航行している船、飛行している民間機は周辺海域からの退避が求められています』


 イベントに行った次の日の日曜の昼。この後蓮が来るので部屋を片付けていたところで、ニュースを聞いた。


 「…またか」


 1号の時も日曜に来ていたから驚きではないが、それにしたって出過ぎではなかろうか?


 「…まぁ、世界の危機ならしょうがないか」


 わたしは外からは見えない、照明を落とした玄関前に立つと、右手に持ったミニステールのステッキを念じる。

 さっさと倒して蓮とテスト勉強しなければ!


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「防衛大隊第3艦隊!目標まであと20マイル!」

「航空隊第一陣損耗率22%!」

「ミサイル到達まで、あと5,4ッ、撃ち落されました!」


 防衛隊東京本部総合指令室では、第五号超巨大異生物に対する攻撃を指示していた。だが、異生物が発生させる弾幕により、その攻撃はなかなか届かなかった。


 「同じやつではない、か」


 相手の姿は超巨大異生物第二号マードンに似ていたが、あの時の個体よりも大きく、色も違うため同一個体ではないと判断。便宜的にマードン2世と名づけられた異生物相手に、大山田は内心穏やかではなかった。


 「…こんな離島に現れるとは」


 今までの超巨大異生物と違い、市街地とは遠く離れた離島に現れたため、防衛戦力が単純に送りづらい現状にいらだっていた。


 (しかし、2号となるとあのビームがあったが…)


 初代マードンは足が遅かったが、背中にエネルギーをチャージすることで強力な荷電粒子を発射することができ、その出力を最大にすれば最低でも大都市を焦土にできるという試算があった(*1)。幸い使われる前にR-1との戦いで消耗して使わずじまいだったが、今回は出現から相当時間が経ってているからか、かなりの頻度で使っている。

 

 (仮に使われたら、本土にも影響があるビーム。恐らくチャージ終了まであと数分といったところだろう)


 大山田は先日完成した新兵器を使うべきか頭を悩ませる。防衛隊が使ってきたこれまでのどの兵器よりも威力が高いが、その分周囲への被害も甚大になる熱兵器…


 (いや、付近を航行している船の退避も終了していない、下手に使うわけには…)


 「っ!!R-1出現しました!!」


 通信士の一人が叫ぶ。


 「きたか…、第1特化隊に連絡!!コード334を命ずる!!」


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 (…あれ、1度倒したよねこいつ)


 目の前にいる超巨大異生物を見て、少し疑問を浮かべる。

 

 目の前にいるのは、サイのようなフォルムの緑色の異生物。本来のサイと違うのは、蛇のような尻尾が二つ生えて先っぽが地面についていることと、その頭についているのが紫色の単眼であるということ。そして背中についた巨大なくちばし…


 (ん?あのくちばしの周りあんなだったっけ?)


 よく見るとくちばし周辺の皮膚が少したるんでいた。前の時はあんな感じではなかったような?


 (まぁいいや、さっさと倒しちゃおう)


 わたしはブルスを向けると、異生物はもぞもぞと動いていた。前回はここでバリアを張っていたが…


 (そんなのお見通し!!)


 わたしは普段は足に格納してある超振動鞭のビョールを右手に持つ。そして足とバーニアを使って飛び上がると、ブルスを威嚇で異生物の右脇の地面に撃つ!


 たまらず左側に体を傾ける異生物。その左前脚にビョールを巻き付け、振動させる。すると異生物は左前脚を軸にできず、こけそうになる。

 だが相手も負けじと頭の角をこちらに向けると、それが


 (それも一度見たのよ!)


 直進するだけの角を躱し、ブルスを相手の頭部に撃つが…


 ジャァァァァァオォォォォ!!


 口から吐き出された光線とぶつかって相殺される。そうしているうちに新しい角が下から生え始める。

 だがここまでは予想通り!このまんま空中からキックを浴びせて_____







 シュウゥゥ…


 そんな異音がしたと思ったらわたしミニステールの左腕装甲が溶けていた。


 (…え?)


 よく見ると背中のくちばしのたるんでいた皮膚の下から三つの黒い穴が出ている。前の個体にはなかったビーム発射口を、今まで隠していたのか。


 だがそれ以上に…


(…ああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!イタイイタイイタイイタイ!!)


 今までの戦闘で感じたことがないような、激烈な痛みを左手から感じる。ブルスも手放してしまった。たまらずわたしは着地点を変更して相手と距離をとる。


 (…クゥゥ)


 こうなったら奥の手を使うしかない。わたしは右手のビョールをしまうと、右肩に格納していた2本の丸い棒のうち一本を持つ。その棒のスイッチを入れると、ビームの刀身が発生する。レクレールより短いが破壊力は抜群なビーム剣ローグだ。


 わたしはスラスターを全開にして異生物に接近する。狙いは首の付け根!

異生物も負けじとビームを打ってくるが、すべて紙一重でかわす。そして首を切り落とすと、その切り口から胴体中央に埋まっているはずのコアめがけて腰のランチャーから徹甲弾を発射する!!


 徹甲弾の爆発から遅れて数秒、震わせていた体に紫色の光が体内から漏れ出し、異生物は爆発する。それを離れてみる私だったが…


 (…まだ痛いのが止まらない!!)


 あまりの痛みに泣きわめきそうになるが、我慢してワープを念じる。そうする意識を失うとともに、徐々に痛みも引いていった…


===================================


 「Rー1、消失していきます」

 「…第一特化隊、間に合いませんでした…」


 指令室で大山田は拳を握りこむ。


 (やはり戦闘が速すぎる…!!)


 内閣の求めでR-1の調査をするよう要請されて数日。効くかどうかわからないが、新開発の吸着式発信器をR-1につけ追跡する『対Rー1追跡作戦第一プラン』を実行するために編成した空挺第一特化隊は、到着するまでもう15分必要だった。そもそもRー1の戦闘時間が5分足らずなので、その前に特定部隊を到着させられるのか?という意見もあったが、中将により無視された経緯を持つ(*2)。


 「…クソが」


 大山田は思わず愚痴ってしまった。幸い市街地に出現したわけではないため、被害が甚大ではないこともある。だが、それ以上にまた防衛隊が大した活躍ができずにRー1に手柄をとられた現状に、少なからず苛立ちを覚えていた。


 (このままでは次の追加予算は絶望的だろう。いや、それ以上に本隊(*3)との再統合の話を進めたい奴らには、絶好のチャンスだ!何とか手柄を上げなければ…)


 「…一佐、第二資材課からメッセージです」

 「…繋げ」


 このタイミングでなんだと思いつつ、メッセージを見ると…


 「…!!あとでそちらに向かうと伝えろ!!」


=====================================


 「…はっ!!家か…」


 すこし意識が飛んでいたらしい。わたしはいつの間にか家の玄関前まで戻っていた。

 

 「…調子に乗りすぎたかな?」


 一度戦った相手だと思って、気を抜いてしまった。違う行動だったから躱せずに死にました、となったら元も子もない。


 (とりあえず、どうなっているかテレビをつけてニュースを…)





















ギィィィ


 



















 (…何の音?)


 わたしは異音を耳にした。まるで金属をこすり合わせたような音を。

 

 だが待て、わたしは部屋にそんな音がするものは置いていないし、今座っていたのはフローリングの床だ。このアパートは築7年だから家鳴りだともおもえない。なにより音は


 (そう、左の地面から…)


 そう思って目に映ったのは白の長袖…


 (……………………へ?)


 左手を上げてみると、確かに動きはする。だがそれは、柔らかい肌色ではなく光沢を伴った金と銀、そして赤に見えた。


 (…待って、待って、待って!!)


 わたしは寝室に飛び込むと、その横にある姿見に自身の体を写し、左腕の袖の下をまくった。

 





 銀色のシリンダー。それにまとわりつく手首の赤い補強パーツ。骨のような形状の銀色の指。それらをまとめる上品な金色の装飾。そして何より、球体になってしまった関節部分。から漏れる、金属をこするような異音。


 それが、わたしの左腕だった。


 (…う、そ…)


 わたしはへたりこんで、そのまま意識を失っていった…

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(*1)同様の仕組みをリリアーが持っていたが、こちらも使わずじまい。

(*2)国民の批判をかわすため、この作戦自体知ってるもんは少数

(*3)自衛隊。再統合できるようにあくまで分けた扱いになっている。

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後書き


残念だな、新日常系だ。


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