第6話 だから?私は許さない

☆飯場月サイド☆


確かにお姉ちゃんが堕ちたのには理由があると思う。

でもだから何?

私ははっきり言って許す気はない。

思いながら私は荷物を持ってからお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは眉を顰めながら涙を浮かべていた。


「お姉ちゃん。これ自業自得だから」

「.....うん」

「反省して、っていうか今の状況だと土下座でも甘いと思うし」

「そうだね。甘いと思う。土下座で.....どうにかなるなら苦労しないね」

「今やるべき事はわかる?お姉ちゃん。遊ぶのを辞めなさい。全部ね。.....それから今やるべき事は全てに終止符を打って下さい。私はそれが出来るまでお姉ちゃんとは認めない」

「.....あはは.....そうだね」


私は家族として貴方を信頼していました。

だけどこういうふざけた事をするなら家族じゃない。

空が亡くなったから甘く?

あくまでそれは言い訳にしかならないよ。お姉ちゃん、と厳しい非難する目でお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは、そうだね。私は.....そうだね、と泣く。

子供じゃないんだから。


「子供じゃないよ。お姉ちゃん。そんなに泣いても意味ない。そもそもお姉ちゃんが招いた事態なんだから」

「まあそうだね。うん。私が.....悪いから」

「一緒に暮らしたいのなら全て悔い改めて。.....絶望から抜け出して」

「そうだね」


正直家族としてお姉ちゃんを見れない。

いやもう.....浮気よりも最低だと思う。

思いながら私は溜息を盛大に吐いて荷物を持つ。

それからマンションから後にした。



おにーさんの家に着いた。

私は浮かれ気分でインターフォンを押す。

すると直ぐにドアが開いてからおにーさんが顔を見せた。

それから笑みを浮かべてくる。

私はその顔を見ながら、おにーさん。不束者ですが宜しくです、とニコッとする。


「今日から宜しくね。月ちゃん」

「暫く.....お姉ちゃんが完全に反省するまで宜しくお願いします」

「.....そうだね」

「.....はい」


それから私はおにーさんに、早速ですが荷物を入れますね、と荷物を入れてから。

手伝ってくれたおにーさんを見る。

おにーさん。今日から私はおにーさんじゃなくて、伸晃さん、って呼び捨てにします、と満面の笑顔で伸晃さんを見る。

は?な、と動揺する伸晃さん。


「何でそういう事に!?」

「それは簡単ですよ。私が伸晃さんが好きだからです。だから私の事も月ちゃんじゃなくて月って呼んで下さい」

「え!?い、いや。呼び捨ては流石に」

「それじゃあやってみましょう。はい」

「あのね.....月ちゃん」

「月ちゃんじゃないです。私は月です。はいもう一回」


私は胸を張りながら宣言する。

ちょっと待って、と慌てる伸晃さん。

私はその言葉に伸晃さんを見る。

それから、待ちません、とニコッとした。


「私は伸晃さんが好きです。名前呼びがしたいです」

「大きな声で言わないの.....」

「大きな声?これは自然です。はいもう一回」

「いやいや.....」


それから伸晃さんは迷った様にしながら。

盛大に溜息を吐きながら私に苦笑い。

じゃあ、つ、月、とそのまま回答してくれた。

私はゾクッとしながら、はい。よくできました、と回答する。


「耳が幸せです」

「その為に呼ばせたのか!?」

「そりゃそうでしょう。私はあくまで伸晃さんが好きなんですから」

「何度も好きって言わないで」

「言いますよ?何度でも。世界の中心でアイを叫んだケモノ、です」


よくできました、と言いながら私はニヤッとしながら伸晃さんの胸ぐらを掴む。

それからそのまま見上げた。

身長差があったが難なくクリア出来た。

それは.....キスである。

私は頬を朱に染めながら見上げる。


「いき.....なり待て.....待って!!!!?」

「伸晃さん。これぐらいはスキンシップですよ。ご褒美のチークキスです」

「ご褒美って.....いや!?これはご褒美とかじゃないぞ!?やりすぎだと思うぞ!」

「私はそうは思いません。チークキスぐらい外国の方もやっています」

「これはそもそもチークキスじゃない!ただのキスだって!?」


もー。伸晃さん。恥ずかしがり屋ですね。

中学生のキスですよ?受け取って下さいな、とニコニコする私。

伸晃さんは、生々しいから止めてくれ、と唇を撫でる。

しかしキスしちゃった。

成り行きで。


「因みに私のキスはファーストキスです」

「?!」

「私は徐々に伸晃さんを落としていきます。.....攻略していきます。今はそんな気がないかもしれませんが絶対に陥落させますよ」

「.....」


無茶苦茶な、と言いながら伸晃さんは真っ赤になる。

私は、可愛い、と思いながら写真をパシャリと撮った。

そして、はい。今日の記念です、とメッセージに写真を送信する。

それから、私は奥さんと思って下さいね、とウインクする。


「全く.....」

「ははは。恋する乙女ってのはこういうものです」


まあ正直やり過ぎじゃないかって思うけど。

私もメチャクチャ恥ずかしい。

だけど私の好きな人だから。


この身も捧げたいしね。

後悔はない。

全ては伸晃さんの為だしね。

その後に私の幸せの為だし.....。

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